登録第6549589号:毛筆風の書体で「SCORPiO」の欧文字を、語頭の「S」から語尾の「O」にかけて、大きさを徐々に小さく、やや右上がりに横書きにし、また、当該文字は、語頭の「S」から語尾の「O」にかけて、青緑色が徐々に薄くなるようなグラデーションが施されている構成、指定商品役務は、第12類の「自転車用フレーム,自転車用前ホーク」です。

 

 ところが、この商標は、

 

 登録第5693994号商標:「SCORPION」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2021-006989)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「SCORPiO」の欧文字は、「さそり座」の意味を有する英語「Scorpio」を認識させるものであるとしても、当該英語は、我が国において広く一般に親しまれているとはいい難いことから、」

 

「直ちに、「さそり座」の意味を理解させるとはいえず、特定の意味合いを生じない一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。」

 

そうすると、

 

「一般的には、商標が、それ自体あまり知られていない欧文字からなる場合、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の読み方に倣って称呼されるとみるのが自然であるから、本願商標の構成文字に相応して、「スコルピオ」又は「スコーピオ」の称呼を生じるものである。」

 

したがって、

 

「「スコルピオ」又は「スコーピオ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。」

 

一方、引用商標の

 

「欧文字は、「さそり」の意味を有する英語として広く親しまれていることから、」

 

「その構成文字に相応した「スコーピオン」の称呼を生じ、「さそり」の観念を生じるものである。」

 

したがって、

 

「「スコーピオン」の称呼を生じ、「さそり」の観念を生じるものである。」

 

 そこで、両者を対比すると、

 

「外観においては、両商標の書体が明らかに相違し、また、引用商標における語尾の「N」の欧文字の有無及び色彩の有無という明らかな差異を有することから、両者は外観において明確に区別できるものである。」

 

「称呼において、本願商標は「スコルピオ」又は「スコーピオ」の称呼を生じ、引用商標は「スコーピオン」の称呼を生じるところ、本願商標から生じる「スコルピオ」の称呼は、第3音の「ル」が比較的強く発音されるものであり、加えて、比較的聴取し難いとしても、語尾の「ン」の音の有無においても相違することからすると、「ル」と長音の相違及び語尾の「ン」の有無が、称呼全体に及ぼす影響が弱いとはいえないことから、これらの称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語感、語調が異なり、聞き誤るおそれがあるとはいい難い。」

 

また、

 

「本願商標から生じる「スコーピオ」の称呼と引用商標から生じる「スコーピオン」の称呼とは、構成音数が異なるものの、比較的聴取し難い語尾の「ン」の音の有無において相違するにすぎないものであるから、これらの称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語感、語調が異なるとはいえず、これらの称呼は、類似するものである。」

 

「本願商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「さそり」の観念を生じることから、両者は観念において相紛れるおそれはないものである。」

 

そうすると、

 

「本願商標から生じ得る「スコーピオ」の称呼と引用商標から生じる「スコーピオン」の称呼とは類似するものであるとしても、外観において明確に区別でき、本願商標から生じ得る「スコルピオ」の称呼と引用商標から生じる称呼は、聴別することができ、また、観念において相紛れるおそれがないものであることから、」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 今回は、称呼が類似する商標の類似が問題となりました。

 

 称呼が類似していても、外観や観念で識別できる場合には全体でみて非類似となることがあります。

 

 外観や観念で識別力を高めることが真似とは言わせないツボになります。

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