登録第6453461号:3つの装飾された十字架様の図形(以下「図形部分」という。)と,その下に「TATRAS」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きしてなる構成、指定商品役務:第18,35類の各商品役務の商標は、
登録第1544972号商標:
「TATRA」の欧文字を横書きしてなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2021-002810)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「図形部分と文字部分とは,視覚上分離して看取され,また,それらに観念上のつながりがあるとはいえないものであるから,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。」
「そして,文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たさないとみるべき特段の事情は見当たらないから,本願商標の「TATRAS」の文字部分を要部として抽出し,これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。」
「さらに,「TATRAS」の欧文字は,辞書等に載録されていないものであって,直ちに特定の意味合いを認識させるといった事情も見当たらないことから,一種の造語を表したものとして認識されるものである。」
そうすると,
「その構成文字に応じて「タトラス」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。」
一方、引用商標の
「文字は,引用商標との関係で特定の意味合いを有する語として辞書等に載録されているものではなく,また,直ちに特定の意味合いを認識させるといった事情も見当たらないから,一種の造語として認識されるものである。」
そうすると,
「その構成文字に応じて「タトラ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。」
そこで両者を比較すると、
「要部である「TATRAS」の文字部分と引用商標とは,語尾の「S」の有無という差異を有しており,この差異が,6文字又は5文字という比較的短い文字構成における視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえない上に,全体においては,図形の有無という顕著な差異を有していることから両者は判然と区別できるものである。」
また、称呼については、
「文字部分から生じる「タトラス」の称呼と引用商標から生じる「タトラ」の称呼とは,語尾における「ス」の音の有無という差異を有し,3音又は4音という短い音構成においては,当該差異が全体の称呼に与える影響は大きいといえることから,それぞれを一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。」
さらに、観念については、
「両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから比較できないものである。」
そうすると、
「観念において比較できないとしても,外観において判然と区別でき,称呼においても明瞭に聴別できるから,」
非類似の商標と判断されました。
今回は、一部が共通する商標との類似が問題となりました。
一部が共通していても、短い構成の商標であれば、違いが目立って非類似になる場合があります。
少しでも違いをつくることが真似とは言わせないツボになります。
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