ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6429478号:上部に連続した略三角形状の小さな点を円状に配置した図形を、その下部に「sonoka」の欧文字を表してなる構成、指定商品:第30類の各商品の商標は、

 

(1)登録第4593778号商標:「素の香」

 

(2)登録第4593779号商標:「粗の菓」

 

(3)登録第5426172号商標:

 

 「奏乃香」の漢字及び「そのか」の平仮名を上下二段に表した構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2021-001329)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「図形部分と文字部分は、上下に間隔を設けて配置されているから、視覚上分離して認識できるもので、また、その構成中「sonoka」の文字部分は、特定の意味を有する語ではなく、その図形部分とは称呼及び観念上の関連性を有するようなものではないから、両者につながりもない。」

 

 そうすると、

 

「その図形部分と文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、これに接する需要者及び取引者をして、それぞれの構成部分が独立した出所識別標識であると認識、理解されるものである。」

 

 そうすると、

 

「その円状図形に相応して、特定の称呼及び観念は生じないもので、その文字部分(sonoka)に相応して、「ソノカ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。」

 

 一方、引用商標1の

 

「構成文字は「飾りけがない。もと。」などの字義を有する「素」(ソ、ス)の文字と、「かおり。におい。」などの字義を有する「香」(コウ、カ)の文字を、連体格を示す格助詞である「の」の文字(参照:「新選漢和辞典 机上版」小学館、「広辞苑 第7版」岩波書店)で結合してなるものであるが、」

 

「構成文字全体として特定の意味を有する語となるものではないから、各文字の字義に相応する漠然とした印象を与えるとしても、特定の観念は生じない。」

 

 また、称呼については、

 

「直ちに特定の称呼を想起させるものではないが、各文字の表音に相応して「ソノコウ」、「ソノカ」、「スノコウ」又は「スノカ」などの称呼が生じ得る。」

 

 そうすると、

 

「「ソノコウ」、「ソノカ」、「スノコウ」又は「スノカ」などの称呼が生じ得るが、特定の観念は生じない。」

 

 引用商標2の

 

「構成文字は「あらい。そまつ。」などの字義を有する「粗」(ソ)の文字と、「くだもの。おかし。」などの字義を有する「菓」(カ)の文字を、連体格を示す格助詞である「の」の文字(前掲書参照)で結合してなるものであるが、」

 

「構成文字全体として特定の意味を有する語となるものではないから、各文字の字義に相当する漠然とした印象を与えるとしても、直ちに特定の観念は生じない。」

 

 また、称呼については、

 

「直ちに特定の称呼を想起させるものではないが、各文字の表音に相応して「ソノカ」の称呼が生じ得る。」

 

 そうすると、

 

「「ソノカ」の称呼が生じ得るが、特定の観念は生じない。」

 

 引用商標3の

 

「平仮名部分は漢字部分の読み仮名を表してなるものと理解できるから、その構成文字に相応して「ソノカ」の称呼が生じる。また、その構成文字は、「上に申し上げる。かなでる。」の字義を有する「奏」の文字と、格助詞「の」の漢字表記でもある「乃」の文字、「かおり。におい。」などの字義を有する「香」の文字(前掲書参照)を結合してなるものであるが、」

 

「全体として特定の意味を有する語となるものではないから、各文字の字義に相応する漠然とした印象を与えるとしても、特定の観念は生じない。」

 

 そうすると、

 

「「ソノカ」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。」

 

 そこでそれぞれ比較すると、引用商標1に対して、

 

「外観については、図形部分の有無に顕著な差異があり、文字部分にしても構成文字(「sonoka」と「素の香」)が相違するから、互いに判別は容易である。」

 

 また、称呼については、

 

「複数生じ得る称呼のうち「ソノカ」の称呼を共通にする場合があるとしても、その他の称呼は3音又は4音という短い構成音において1音以上の差異音があるから、相紛れるおそれはない。」

 

 さらに、観念については、

 

「いずれからも特定の観念は生じず比較できないが、各文字の字義に相応する印象の有無には差異があるから、相紛れるおそれはない。」

 

 そうすると、

 

「複数生じ得る称呼の一つを共通にする場合があるとしても、その他の称呼において相紛れるおそれはなく、外観においても判別は容易で、観念において相紛れるおそれはないから、字義に相応する印象の有無の差異も踏まえて、それぞれが与える印象、記憶等を総合してみれば、誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない。」

 

 引用商標2に対して、

 

「外観については、図形部分の有無に顕著な差異があり、文字部分にしても構成文字(「sonoka」と「粗の菓」)が相違するから、互いに判別は容易である。」

 

 また、称呼については、

 

「「ソノカ」の称呼を共通にし得る。」

 

 さらに、観念については、

 

「いずれからも特定の観念は生じず比較できないが、各文字の字義に相応する印象の有無には差異があるから、相紛れるおそれはない。」

 

 そうすると、

 

「称呼を共通にし得るとしても、外観において判別は容易で、観念において相紛れるおそれはないから、字義に相応する印象の有無の差異も踏まえて、それぞれが与える印象、記憶等を総合してみれば、誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない。」

 

 引用商標3に対しては、

 

「外観については、図形部分の有無に顕著な差異があり、文字部分にしても構成文字(「sonoka」と「奏乃香」(そのか))が相違するから、互いに判別は容易である。」

 

 また、称呼については、

 

「「ソノカ」の称呼を共通にする。」

 

 さらに、観念については、

 

「いずれからも特定の観念は生じず比較できないが、各文字の字義に相応する印象の有無に差異があるから、相紛れるおそれはない。」

 

 そうすると、

 

「称呼を共通にするとしても、外観において判別は容易で、観念において相紛れるおそれはないから、字義に相応する印象の有無の差異も踏まえて、それぞれが与える印象、記憶等を総合してみれば、誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない。」

 

 と判断されました。

 

 

 今回は、称呼が共通する商標との類似が問題となりました。

 

 称呼が共通していても、外観や観念で混同しなければ非類似になります。

 

 外観や観念で比較すらできないようにすることが真似とは言わせないツボになります。

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