ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6396708号:「AI−RAD」、指定商品役務:第9,10,41,42,44類の各商品役務の商標は、

 

(1)登録第4448682号商標:

 

 「アイラド」の片仮名及び「iRad」の欧文字を上下二段に横書きしてなる構成

 

(2)登録第5669473号商標:

 

 「iRad」の欧文字及び「アイラッド」の片仮名を上下二段に横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-005359)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「AI」の文字及び「RAD」の文字を「−」で結合した「AI−RAD」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「AI」の文字は、「Artificial Intelligence(人口知能)」の略語として一般に知られていることからすれば、「AI」の文字は「エーアイ」の称呼が自然に生じるものである。」

 

 また、

 

「「AI−RAD」の文字は、構成文字全体としては、一般的な辞書等に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、一種の造語として認識されるというのが相当である。」

 

 したがって、

 

「その構成文字に相応して、「エーアイアールエーディー」又は「エーアイラッド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標1の

 

「上段の「アイラド」の片仮名は下段の「iRad」の欧文字の読みを特定したものと容易に認識されるものである。」

 

 また、

 

「「アイラド」の片仮名及び「iRad」の欧文字は、いずれも、一般的な辞書等に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、一種の造語として認識されるというのが相当である。」

 

 したがって、

 

「「アイラド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標2の

 

「下段の「アイラッド」の片仮名は上段の「iRad」の欧文字の読みを特定したものと容易に認識されるものである。」

 

 また、

 

「「iRad」の欧文字及び「アイラッド」の片仮名は、いずれも一般的な辞書等に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、一種の造語として認識されるというのが相当である。」

 

 したがって、

 

「「アイラッド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 そこで、それぞれ対比すると、外観は、

 

「それぞれの構成文字及び態様が明らかに異なるものであるから、」

 

「相紛れるおそれはないものである。」

 

 また、称呼は、

 

「それぞれの音構成や音数の明らかな差異により、称呼上、相紛れるおそれはないものである。」

 

 さらに、観念においては、

 

「いずれの商標も特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。」

 

 そうすると、

 

「観念において比較することができないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはないものであるから、」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標との類似が問題となりました。

 

 商標の一部が共通していても、全体で見て相紛らわしいことがなければ非類似になる場合があります。

 

 全体の印象を大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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