ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6393996号:「MARUHANA」の欧文字及び「丸花」の文字を上下二段に書してなる構成、指定商品:第26類の「テープ,リボン,組みひも,造花」の商標は、

 

 登録第6221923、6227412号商標:

 

 「円輪郭内に「花」の文字(以下「引用上段部分」という。)を配し、その下にややデザイン化された「のれん」の平仮名(以下「引用下段部分」という。)を横書きにしてなる」構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-009582)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「MARUHANA」の欧文字は、下段の漢字の読みを欧文字で表したものと看取され得るものであり、また、「丸花」の文字は、一般的な辞書等に載録された成語ではなく、かつ、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、全体として、特定の語義を有さない一種の造語として認識されるというのが相当である。」

 

 したがって、

 

「その構成文字に相応して、「マルハナ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標の

 

「引用上段部分と引用下段部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから、それぞれが独立して自他商品の出所識別標識として機能し得るものである。」

 

 そこで、

 

「引用上段部分についてみると、構成中の円輪郭図形はありふれた枠線であり、円輪郭図形と文字とが一体となって特定の意味合いを想起させるなど、常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとみるべき特段の事情は見出し得ず、」

 

 また、

 

「円輪郭図形と文字とを分離して観察することが不自然というべき程に密接な関連性があるともいい難いから、引用上段部分は、読みやすい文字部分を捉え、これより生じる称呼をもって取引に当たることも少なくないというべきである。」

 

 してみれば、

 

「その構成中、引用上段部分の「花」の文字から、「ハナ」の称呼及び「花」の観念を生じるものといえる。」

 

 そして、引用下段部分については、

 

「「のれん」の文字から「ノレン」の称呼及び「暖簾」の観念を生じるものである。」

 

 そうすると、

 

「構成全体から生じる「ハナノレン」の称呼のほか、「ハナ」及び「ノレン」の称呼を生じ、「花」及び「暖簾」の観念が生じるものである。」

 

 そこで、両者を対比すると、

 

「外観全体では、図形の有無の差異及び構成文字について明らかに相違し、全体の構成を異にするから、外観上、相紛れるおそれはないものである。」

 

 また、称呼は、

 

「本願商標から生じる「マルハナ」の称呼と引用商標から生じる「ハナノレン」、「ハナ」及び「ノレン」の称呼は、それぞれの音構成や音数が明らかに異なることから、称呼上、聞き誤るおそれはないものである。」

 

 さらに、観念においては、

 

「本願商標からは観念が生じないのに対し、引用商標の引用上段部分からは「花」の観念及び引用下段部分からは「暖簾」の観念が生じるから、観念上、相紛れるおそれはない。」

 

 そうすると、

 

「外観において明確に区別できるものであり、称呼においても互いに聞き誤るおそれはないものであって、観念において相紛れるおそれはないから、」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標との類似が問題となりました。

 

 円輪郭図形内に文字がある場合、常に「マル」の称呼が生じるとは限らないとされましたが、常にこのように判断されるとは限りません。

 

 基本は外観、称呼、観念のどれかを大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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