ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6380919号:「まる現」、指定商品役務:第41類の各役務の商標は、

 

 登録第5634055号商標:不規則に凹凸を有する円輪郭内に、小さな円及び直線と折れ線とを組み合わせた太線を有するオレンジ色の図形(以下「図形部分」という。)と、その下に、黒色でややデザイン化された「まるげん」の平仮名(以下「文字部分」という。)を横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-008613)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の文字は、

 

「一般的な辞書等に載録された語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないことから、特定の語義を有さない一種の造語として認識されるというのが相当である。]

 

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して、「マルゲン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標の構成は、

 

「上段に図形部分、下段に文字部分が配置されていること、図形部分と文字部分の構成態様が異なること、異なる色彩で表されていること等から、両者は視覚上、分離して看取されるものである。」

 

 また、

 

「図形部分は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。」

 

 さらに、

 

「文字部分の「まるげん」の文字は、一般的な辞書等に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、特定の語義を有さない一種の造語として認識されるというのが相当である。」

 

 以上のことからすると、

 

「その構成上、図形部分と文字部分とは、それぞれが視覚上分離して看取されるものであって、かつ、これらが観念上のつながりを有するような事情は存しないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難いものである。」

 

 そうすると、

 

「その構成中の図形部分及び文字部分が、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るといえるものであるから、引用商標の構成中の「まるげん」の文字部分を要部として観察することが許されるというべきである。」

 

 したがって、

 

「引用商標は、その要部たり得る「まるげん」の文字部分に相応して「マルゲン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 そこで、両者を比較すると、外観は、

 

「図形の有無の差異を有することから、全体の構成を異にするものである。」

 

 また、引用商標の要部である「まるげん」と比較しても、

 

「前者は、平仮名2文字と漢字1文字、後者は、平仮名4文字という点で異なり、これらの差異がともにわずか3文字又は4文字という少ない文字構成からなるから外観に与える影響は大きい。」

 

 また、

 

「前者は標準文字で表されているのに対し、引用商標の要部である「まるげん」は、ややデザイン化されていることから、文字の態様においても差異を有することからすれば、両者は、視覚的な印象が相違し、外観上、判然と区別し得るものである。」

 

 称呼を比較すると、

 

「共に「マルゲン」の称呼を生じるから、称呼上、同一である。」

 

 観念は、

 

「特定の観念を生じないから、比較することができない。」

 

 そうすると、

 

「「マルゲン」の称呼を共通にするとしても、外観においては、全体の構成を異にし、その印象が著しく相違し、かつ、本願商標と引用商標の要部との対比においても、両者の構成及び態様において差異を有するものであって、判然と区別し得るものであり、また、観念においては、比較することができないものであるから、」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 

 

 今回は、称呼が同一の商標の類似が問題となりました。

 

 称呼が同一であっても、外観や観念で識別できれば互いに非類似となる場合があります。

 

 外観や観念を少しでも異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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