ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6342237号:「アイスマイル」の片仮名と「ICE MILE」の欧文字を二段に書してなる構成、指定商品役務:第14,16類の各商品の商標は、

 

 登録第5863306号商標:薄緑色の「iSmile」の欧文字と,黒色の「Unite the world with Smile」の欧文字を二段に横書きにし,その右側には,橙色の円を背景に,木と鳥を表したとおぼしき図形を配してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-004580)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「ICE」の文字は,「氷,アイス,氷菓」等の意味を有する英語,「MILE」の文字は,「(法定)マイル:英米のヤード=ポンド法による距離の単位」を意味する英語(いずれも「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)であり,いずれの語も我が国において広く一般に親しまれているものの,」

 

「これらを組み合わせた「ICE MILE」の文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことからすれば,当該文字は,特定の観念を生じないものである。」

 

 また、

 

「上段に記載された「アイスマイル」の文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものの,」

 

「下段の「ICE MILE」の読みを表したものと無理なく認識されるものである。」

 

 そうすると、

 

「「アイスマイル」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 

 一方、引用商標は、

 

「その構成全体がまとまりよく一体的に表されているものである。」

 

 そして、

 

「下段の欧文字が小さく記述的に表されており,当該文字部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情は見いだせないことから,当該文字部分からは,役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。」

 

「一方,「iSmile」の文字部分は,太く大きく表され,看者に対し強く支配的な印象を与えるものであるから,「iSmile」の文字部分に着目して商標を記憶し,当該文字に相応する称呼をもって取引に資する場合があるというのが相当である。」

 

 また、

 

「図形部分は,特定の事物を表すものとして親しまれているような事情は見いだせないものであるから,これより特定の称呼及び観念は生じないものである。」

 

 そうすると、

 

「「iSmile」の文字部分に相応した「アイスマイル」の称呼が生じるものであり,「Smile」が「微笑する」等の意味で親しまれた語であるとしても,これに「i」を付加した「iSmile」の文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことからすれば,特定の観念を生じないものである。」

 

 そこで、両者を比較すると、

 

「外観においては,引用商標がまとまりよく一体的に表されていることから,構成全体が著しく相違することに加え,」

 

「要部である「iSmile」の文字部分とを比較しても,その構成文字が明らかに異なることから,判然と区別し得るものである。」

 

 称呼は、

 

「いずれも「アイスマイル」の称呼が生じるものであるから,両者は,その称呼を共通にするものである。」

 

 さらに、

 

「いずれも特定の観念を有しないものであるから,観念において比較することはできない。」

 

 したがって、

 

「観念において比較できず,称呼を共通にするとしても,外観において顕著に相違し,明確に区別し得ることから,」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 今回は、称呼が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 称呼が共通していても、外観が大きく異なる場合には非類似となることがあります。

 

 見た目を大きく変えることが真似とは言わせないツボになります。

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