ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6321017号:「左から順に,(ア)白線の割り込みを介して白線の左側を赤色,右側を黒色とし,大きな逆三角形状の図とその右側の「V」状の図
の一部分とを重ねたような図形,(イ)黒色の「Λ」状の図形,(ウ)右の一部が切れた円状の黒色の図形(内側中央にその形状に沿った黄色の細い線を有する),(エ)右の一部が切れた上記(ウ)と同一の形状の黒色の図形(内側中央にその形状に沿った青色の細い線を有する),(オ)白線の割り込みを介して白線の左側を黒色,右側を青色とし,下部に三角形状の切り込みを有する三角形状の図形,(カ)上記(エ)の図形の内側から線の切れた部分にかけて,やや右に傾斜したゴシック体に属する書体をもって小さく横書きした「ワッカ」の文字,及び(キ)上記(イ)ないし(エ)の上下に配置された,それぞれ赤色と黄色の2つの円弧状の曲線からなる」構成

 

 指定商品役務:第9,30類の各商品役務の商標は、

 

(1)登録第5591614号商標:

 

 「WACCA」の文字と「ワッカ」の文字を上下2段に横書きしてなる構成

 

(2)登録第5737699号商標:

 

 やや丸みを帯びた書体で「wacca」の文字を横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-002191)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は、

 

「構成全体として,視覚的にまとまりよく一体的な印象を強く与えるものであり,かつ,その外観は,構成全体として,顕著な特徴を備えたものであるというのが相当である。」

 

「図形部分は,いずれも,直ちに特定の文字をレタリングして表したものと認識することが困難なほどに図案化されており,当該図形部分からは,特定の称呼を生じないものというのが相当であるから,本願商標は,その構成中,唯一の文字部分である「ワッカ」の文字に相応して,「ワッカ」の称呼を生じるものである。」

 

「「ワッカ」の文字は,その平仮名表記「わっか」が,「輪」の意味を有する語であるものの,「ワッカ」の文字自体は,辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の観念を生じるものとはいえない。」

 

「一方で,その構成中,中央に配置された上記(キ)の円弧状の曲線は,上記アのとおり,1つの大きな「円」を表したような印象を与えるものであって,上記(ウ)及び(エ)も,「円」の形状に近いものであることから,当該(ウ),(エ)及び(キ)の図形部分は,「円」の形状,すなわち「輪」の形状を表したものとの印象を与えるものである。」

 

 そうすると、

 

「特定の観念が生じるものとはいえないものの,上記(ウ),(エ)及び(キ)の図形部分と上記(カ)の「ワッカ」の文字部分とが相まって,本願商標全体として,「輪」ほどの漠然とした観念上の印象を与えるものである。」

 

 一方、引用商標1は、

 

「その構成からして,下段の「ワッカ」の文字は,上段に横書きされた「WACCA」の欧文字の読みを示したものと理解するのが自然である。」

 

「また,「WACCA」及び「ワッカ」の各文字は,辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものである。」

 

 したがって、

 

「引用商標1は,その構成文字に相応して,「ワッカ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標2は、

 

「「wacca」の文字は,辞書類に載録された既成語とは認められない欧文字であるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものであり,また,造語として理解される欧文字は,我が国で親しまれた英語又はローマ字の読みに倣って称呼されるものであるから,「wacca」の文字は,英語の読みに倣って「ワッカ」の称呼を生じるものである。」

 

 したがって、

 

「その構成文字に相応して,「ワッカ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 そこでそれぞれ対比すると、

 

「外観においては,本願商標が,図形や色彩を有する顕著な特徴を備えたものであるのに対して,引用商標1及び引用商標2はいずれも,大きく目を引く特徴を備えているものとはいえないから,両者は,外観において,著しく異なる。」

 

 称呼においては、

 

「ともに「ワッカ」の称呼を生じるから,両者は,称呼上,同一である。」

 

 観念においては、

 

「本願商標は,「輪」ほどの漠然とした観念上の印象を与えるものであるのに対して,引用商標1及び引用商標2は,いずれも特定の観念を生じるものではないから,両者は,観念上,類似するとはいえない。」

 

 そうすると、

 

「称呼を共通にするものであるとしても,外観上,著しく異なるものであって,観念上も,類似するとはいえないものであるから,」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 今回は、称呼が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 称呼が共通していても、外観や観念で異なる場合には非類似となることがあります。

 

 外観や観念などで比較できないほどに異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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