ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6311415号:薄い茶色の円の中に、枝、葉及び花(枝と葉は薄い茶色からなり、花はやや暗い赤色からなる。)をモチーフとした図形を配してなる
図形(以下「図形部分」という。)を表し、図形部分の下方に、横書きした薄い茶色の「yuizen」の欧文字(以下「欧文字部分」という。)を配してなる構成、指定商品:第35類の各役務の商標は、

 

(1)登録第4281885号商標:

 

 「ゆいぜん」の平仮名と「唯然」の漢字を、左右両端揃えで上下二段に横書きしてなるものであって、「ゆいぜん」の平仮名は「唯然」の漢字よりもやや小さく表されている構成

 

(2)登録第5888101号商標:

 

 「結膳」の漢字と「ゆいぜん」の平仮名を、上下二段に横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-004898)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「欧文字部分と図形部分は、重なること無く間隔を空けて配置されており、視覚上、分離して把握されること、及び両者は観念的に密接な関連性を有しているとはいえないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。」

 

 そうすると、

 

「図形部分と欧文字部分が、独立して自他役務の識別機能を果たし得るものといえる。」

 

 よって、

 

「欧文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。」

 

 そこで、欧文字部分をみると、

 

「「yuizen」の欧文字からなるところ、当該欧文字は、辞書類に載録された成語ではなく、本願商標の指定役務を取り扱う分野において、特定の意味合いを表す語として使用されている実情も見受けられない。」

 

「そして、そのような欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的である。」

 

 そうすると、

 

「その要部の一である欧文字部分より、その構成文字に相応して、「ユイゼン」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標1の

 

「「ゆいぜん」の平仮名は「唯然」の漢字よりもやや小さく表されているものである。そうすると、上段の平仮名は下段の漢字の読みを表したものと理解できるから、引用商標1は、「ユイゼン」の称呼が生じる。」

 

 そして、

 

「「唯然」の漢字及び「ゆいぜん」の平仮名は、特定の意味を有する成語を表してなるものとは直ちには理解できないが、その構成文字中の「唯」の漢字は、「<ただ>ひとり。それだけ。」の意味(新選漢和辞典第八版(平成23年1月31日、株式会社小学館発行))を有し、「然」の漢字は、「状態を表す語をつくる助字。」(広辞苑第七版(平成30年1月12日、株式会社岩波書店発行))の意味を有する、いずれも平易かつ親しまれた漢字であることから、」

 

「引用商標1は、商標を構成する「唯」と「然」の漢字から、「それだけの状態」程の意味合いを想起し得るとみるのが相当である。」

 

 また、引用商標2の

 

「「ゆいぜん」の平仮名は「結膳」の漢字よりも小さく表れているとともに、当該平仮名中の「ゆい」及び「ぜん」の平仮名が、それぞれ、当該漢字中の「結」及び「膳」の漢字の下に配されてなるものである。そうすると、下段の平仮名は上段の漢字の読みを表したものと理解できるから、引用商標2は、「ユイゼン」の称呼が生じる。」

 

 そして、

 

「「結膳」の漢字及び「ゆいぜん」の平仮名は、特定の意味を有する成語を表してなるものとは直ちには理解できないが、その構成文字中の「結」の漢字は、平易かつ親しまれた漢字であって、この漢字を含み、かつ、引用商標2の称呼を構成する「ユイ」と読む語である「結い」が「結うこと。」を意味し、「結う」とは、「ばらばらになっているものをまとめて一つの形に組み立てる意。」(いずれも、広辞苑第七版(同上))を有する語である。」

 

「また、その構成文字中の「膳」の漢字も、平易かつ親しまれた漢字であって、「よく料理された食物。」(前掲書)の意味を有するものである。そうすると、引用商標2は、商標を構成する「結」と「膳」の漢字から、「一つにした膳」程の意味合いを想起し得るとみるのが相当である。」

 

 そこで、まず、引用商標1と対比すると、

 

「外観については、両者は、文字種、文字数、書体及び色を異にするとともに、一段書きか二段書きかでも異なるものであるから、判然と区別し得るものである。」

 

「称呼については、両者は、「ユイゼン」の称呼を同一にするものである。」

 

「観念については、本願商標の要部の一は、特定の観念を生じないものであるが、引用商標1は、「それだけの状態」程度の観念を生じるものであるから、観念において相紛れることはない。」

 

 次に、引用商標2と対比すると、

 

「外観については、両者は、文字種、文字数、書体及び色を異にするとともに、一段書きか二段書きかでも異なるものであるから、判然と区別し得るものである。」

 

「称呼については、両者は、「ユイゼン」の称呼を同一にするものである。」

 

「観念については、本願商標の要部の一は、特定の観念を生じないものであるが、引用商標2は、「一つにした膳」程度の観念を生じるものであるから、観念上相紛れることはない。」

 

 ことから、

 

「その称呼を同一にするとしても、外観が判然と区別し得るものであって、観念上も相紛れることはないから、」

 

 非類似の商標と判断されました。

 

 

 

 今回は、称呼が同一の商標の類否が問題となりました。

 

 称呼が同一でも、全体として識別できる場合には非類似になります。

 

 外観や観念が異なるような構成にすることが真似とは言わせないツボになります。

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