登録第6271862号:「KAHOH」、指定商品:第9,42類の各商品・役務の商標は、
(1)登録第4583785号商標:
「華邦」(「華」の文字は特殊な書体で表されている。以下同じ。)の漢字を筆文字風の書体で横書きしてなる構成
(2)登録第4841984号商標:
「華報」の漢字の間に「ka−ho」(「o」の文字上部に長音記号が付されている。以下同じ。)の欧文字を配してなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-016497)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「欧文字は,一般的な辞書等に掲載がなく,特定の意味合いを有しない造語と理解されるものである。」
そして、
「欧文字からなる造語については,我が国において親しまれたローマ字の読み又は英語における発音に倣って称呼されるものといえるから,」
「その構成文字に相応して「カホー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標1の
「漢字は,一般的な辞書等に掲載がなく,特定の意味合いを有しない造語と理解されるものである。」
そうすると、
「その構成文字に相応して「カホー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」
引用商標2の
「両文字は,一般的な辞書等に掲載がなく,特定の意味合いを有しない造語と理解されるものである。」
そうすると、
「「華報」の漢字及び「ka−ho」の欧文字に相応して「カホー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」
そこで、まず、外観を比較すると、
「引用商標1とは,欧文字と筆文字風の書体で書された漢字との差異に加え,引用商標1の「華」の文字が特殊な書体であることから,印象が著しく異なり,外観上,明確に区別し得るものである。」
「引用商標2とは,漢字の有無に加え,欧文字の部分について,大文字と小文字の相違,ハイフン及び末尾の「H」の欧文字の有無という顕著な差異を有すること,また,引用商標2の態様が,漢字2字の間に欧文字を配してなるという特殊な構成であることから印象が著しく異なり,外観上,明確に区別し得るものである。」
称呼においては、
「本願商標から生じる「カホー」の称呼と引用商標から生じる「カホー」の称呼とは,称呼上,同一である。」
観念においては、
「共に特定の観念を生じないものであるから,両者は,観念上,比較することはできない。」
してみると、
「称呼が同一で,観念において比較することができないとしても,外観においてその印象が著しく異なり,明確に区別できるものであるから,両商標の外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,」
非類似の商標と判断されました。
今回は、称呼が同一の商標の類否が問題となりました。
称呼が同一であっても外観や観念で両者を識別できる場合には非類似になりやすいです。
見た目や意味を異ならせることが真似とは言わせないツボになります。
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