ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6243268号:「aibow」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の2文字目の「i」の縦線は右斜めに傾き,通常上部に位置する「i」の点部分は波紋状の図形とともに縦線の下部に配され,さらに,「i」の縦線上部より右斜めに翼とおぼしき図形が配された構成、指定商品・役務:第9類の「タッチスクリーン用ペン型データ入力具及びその部品又は附属品」の商標は、

 

 登録第5432863号商標:

 

 左端に「i」の筆記体を基調にデザイン化した文字及びその右横に「.Bou」の文字を配した「i.Bou」の文字(以下「上段文字」という。),及びその右下に小さく接するように「byAC」(「AC」の文字は特徴的な書体で表されている。以下「下段文字」という。)の文字を配してなる構成(「i」の筆記体の点及び
「byAC」の文字は少し明るい青色で,その他の部分は青色でそれぞれ表されている。)。

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-005722)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「aibow」の文字部分は,一般的な辞書等に掲載されている語ではなく,特定の意味合いを有しない一種の造語と理解され,また,図形部分は,我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,当該図形部分からは特定の称呼及び観念を生じないものである。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して「アイボウ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標の

 

「上段文字と下段文字は,文字の大きさの違いから視覚的に分離して看取されるものであり,いずれも一般的な辞書等に掲載されている語ではなく,特定の意味合いを有しない一種の造語と理解されるところ,上段文字は下段文字と比較して顕著に大きく表されていることから,看者に対して強く支配的な印象を与えるものであり,自他商品の識別に当たっては,その構成中の上段文字に着目し,それをもって取引に資する場合も少なくないとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字全体に相応して「アイボウバイエーシー」の称呼を生じるほか,下段文字よりも強く支配的な印象を与える上段文字に相応して「アイボウ」の称呼をも生じるものであって,特定の観念を生じないものである。」

 

 そこで両者を比較すると、

 

「外観においては,その全体の構成は,色彩の相違及び図形の有無などにおいて,印象が大きく異なり,また,文字部分を比較しても,先頭部分の構成態様,欧文字のつづりや文字数など顕著な差異を有するものであるから,両商標は,外観上,明確に区別できるものである。」

 

 称呼については、

 

「両商標は,「アイボウ」の称呼を共通にする場合があるものである。」

 

 観念については、

 

「両商標はともに特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。」

 

 そうすると、

 

「称呼において共通する場合があり,観念において比較することができないとしても,外観において顕著な差異を有するものであり,明確に区別できるものであるから,」

 

 非類似の商標とされました。

 

 今回は、称呼が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 称呼が共通していても、外観が大きく異なれば非類似になる場合があります。

 

 共通点を上回る違いを作り出すことが真似とは言わせないツボになります。

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