登録第6241423号:右上がりの白色斜線を1本ずつ施した「T」の欧文字と「IYO」の欧文字の間に,5本の右上がりの白色斜線を施した黒色の正三角形を配し(以下「上段部分」という。),その下部に「TAIYO CORPORATION」の欧文字(以下「下段部分」という。)を横書きしてなる構成、指定商品・役務:第1,3,5,29,30,32類の各商品の商標は、
登録第4925057号商標、登録第4925059号商標:黄緑色で太く「タイヨー」の片仮名を横書きしてなる構成
等と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-012546)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「上段部分は,図案化されていることに加え,下段部分に比較して大きく表示されていることから,両者は視覚上分離して看取されるものであって,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難い。」
また、下段部分は、
「その構成中「TAIYO」の文字は,辞書等に掲載された語ではなく,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。そして,「CORPORATION」の文字は,「有限会社。株式会社。」等の意味を有する英語(「ベーシック ジーニアス英和辞典」 株式会社大修館書店)であり,これらの法人の種類を表す語として広く使用されていることからすれば,当該文字は,商品の出所識別標識としての機能がないか,弱いものといわざるを得ない。」
そうすると、
「下段部分においては,「TAIYO」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識され,当該文字部分にのみ着目し,その文字部分から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。」
してみれば、
「その構成中の上段部分と,下段部分中「TAIYO」の文字部分とがそれぞれ独立して,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから,本願商標の構成中,上段部分,又は下段部分中「TAIYO」の文字部分のみを要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。」
そうすると、
「下段部分中「TAIYO」の文字部分は,前記のとおり,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから,特定の観念は生じないものであり,その構成文字に相応して,「タイヨー」又は「タイヨ」の称呼を生じるものである。」
したがって、
「全体から生ずる「タイヨーコーポレイション」又は「タイヨコーポレーション」のほか,下段部分中「TAIYO」の文字部分に相応して「タイヨー」又は「タイヨ」の称呼をも生じ,特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標の
「文字は,辞書等に掲載された語ではなく,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。」
したがって、
「その構成文字に相応して,「タイヨー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」
そこで、両者を比較すると、
「図案化された部分の有無,構成文字の種類,数,書体及び色彩において明らかな差異があるから,外観上,明確に区別し得るものである。」
称呼は、
「両者は,「タイヨー」の称呼を共通にする場合がある。」
観念は、
「両者は,特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができないものである。」
そうすると、両者は、
「称呼においては共通する場合があり,観念において比較できないとしても,外観においては,その印象が相違し,判然と区別し得るものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,」
非類似の商標とされました。
今回は、称呼が共通する商標の類否が問題となりました。
称呼が共通していても、外観に大きな違いがあれば、非類似になる場合があります。
外観を大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。
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