ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6234710号: 灰色の下地に、曲線状の白抜きの線と、水色と灰色の円弧で囲まれた図形を連続的に組み合わせた図柄の図形を背景に、該図形の下部に、上段に「SENSE」の欧文字を、下段に小さく「SWANY」の欧文字を二段に配した構成、指定商品・役務:第18類の「かばん類,袋物」の商標は、

 

 登録第4511086号商標:「SEnS」の欧文字を、デザイン化してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-011718)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「の図形部分は特定の観念を生じないことから、図形部分と文字部分に観念的なつながりは認められない。」

 

 そして、

 

「取引者、需要者は、図形部分よりも読みやすい文字部分に注目しやすく、また、構成文字全体として特定の意味合いを生じるともいい難いことから、下段の文字に比べ大きく顕著に表された「SENSE」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。」

 

 そうすると、

 

「構成中の「SENSE」の文字部分に相応して「センス」の称呼も生じ、また、該文字は「感覚」等の意味を有する英語であるから、「感覚」の観念を生じるものである。」

 

 一方、引用商標の

 

「「sens」の文字は、「感覚」の意味を有するフランス語(「アポロ仏和辞典 三版」角川書店)であるものの、我が国において一般に馴染みのある語とはいえないことから、この文字に接する取引者、需要者が、直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難く、引用商標から、特定の観念を生じるとはいえない。」

 

 また、

 

「特定の意味を認識させない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で親しまれている英語の発音に倣って称呼することが多いことから、引用商標からは「センス」の称呼を生じるものとみるのが自然である。」

 

 そこで、両者の外観を比較すると、

 

「書体の違いや、語尾における「E」の文字の有無という相違により、明らかに区別し得るものであり、相紛れるおそれはない。」

 

 次に、両者の称呼は、

 

「「センス」の称呼を共通にするものである。」

 

 観念は、

 

「本願商標の要部からは、「感覚」の観念が生じるのに対し、引用商標からは特定の観念を生じないから、両者は、観念上、相紛れるおそれのないものである。」

 

 したがって、

 

「称呼において共通するとしても、外観において明確に区別することができ、観念においても相紛れるおそれがあるとはいえないことから、」

 

 非類似の商標とされました。

 

 今回は、称呼を共通する商標の類否が問題となりました。

 

 外観や観念で紛らわしくなければ、称呼が共通しても商標全体では差異のほうが多くなって非類似となる場合が多いです。

 

 外観を大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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