ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6223802号:「マリ乙女」、指定商品・役務:第31類の「イチゴ」の商標は、

 

 登録第5194437号商標:

 

 「毬乙梅」の縦書き文字と、その右方に、当該文字に比して極めて小さく表された縦書きの「まりおとめ」の文字を配してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-006749)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の文字は

 

「同じ書体及び大きさをもって、等間隔にまとまりよく表されているものであり、また、その構成全体から生じる「マリオトメ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。」

 

 そうすると、

 

「その構成全体をもって、一体的な造語を形成するものとして看取、把握されるとみるのが相当であり、」

 

「「乙女」の文字は、「年若い女子」といった意味を有する既成の語であるものの、その構成全体については、既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させるものとして一般に知られている語ともいえない。」

 

 してみれば、

 

「その構成文字全体に相応する「マリオトメ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。」

 

 

 一方、引用商標の

 

「「毬乙梅」の文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、かつ、特定の読みや意味を想起させるものとして一般に知られている語ともいえない。」

 

 そうすると、

 

「これを構成する「毬乙梅」の文字と「まりおとめ」の文字との大きさの違いや配置に加え、前者を構成する「毬」、「乙」及び「梅」の各漢字の読みをも勘案するときは、その構成中、「毬乙梅」の文字が特徴あるものと看取、把握される一方、後者の「まりおとめ」の文字については、当該「毬乙梅」の文字の読みを特定すべく付されたものとして看取、理解されるとみるのが相当である。」

 

 してみれば、

 

「「毬乙梅」の文字にその読みを特定するための「まりおとめ」の文字を付記してなる一体的なまとまりあるものであって、その構成全体に相応する「マリオトメ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。」

 

 そこで、両者を比較すると、外観については、

 

「前者は、「マリ乙女」の文字を標準文字で表してなるものであって、視覚上も含め、特徴があるものとはいい難いのに対し、後者は、一般的な書体で表されているものの、特徴ある「毬乙梅」の文字にその読みを表した「まりおとめ」の文字を付記してなる一体的なまとまりあるものであるから、両者は、外観上、顕著な差異があるものとして、明確に区別し得るものである。」

 

 称呼は、

 

「「マリオトメ」という同一の称呼を生じるものである」

 

 観念は、

 

「両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。」

 

 したがって、

 

「外観において顕著な差異があるものとして明確に区別し得るものであり、その外観上の差異が両商標の類否の判断に及ぼす影響は少なくないとみるのが相当であるから、これらを総合勘案すると」

 

 両商標は、非類似の商標とされました。

 

 今回は、称呼が同一の商標の類否が問題となりました。

 

 称呼が同一であっても、外観や観念で違いがあれば非類似とされる場合があります。

 

 見た目や意味でいかに違いを出せるかが真似とは言わせないツボになります。

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