ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6222441号:右斜辺から左斜辺にかけて,2本の帯状からなる切れ目を有する青色からなる略三角図形と,該略三角図形の左下から,これを包み込むように設けられた紫色からなる略三日月図形を配し,その右側に「Kailash」及び「Technology」の欧文字を若干の濃淡の差を有する灰色で上下2段に表してなる構成、指定商品・役務:第9類の各商品の商標は、

 

 登録第5816051号商標:「KAILASH」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-005272)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の図形部分は

 

「直ちに特定の意味合いを表すものとして理解され,親しまれているというべき事情は認められないことから,」

 

 「特定の称呼及び観念は生じないものである。」

 

 文字部分は、

 

「それぞれの頭文字の「K」と「T」の位置を上下に揃えて同じ書体,同じ大きさをもって等間隔に表され,若干の濃淡の差を有するものの,全体を灰色の色彩でまとまりよく表されているものである。」

 

 また、

 

「上段の「Kailash」の欧文字は,辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解され,特定の語義を有しない欧文字は,一般に,我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることから,英語の読みに倣って「カイラシュ」の称呼を生じるものである。」

 

 さらに、

 

「下段の「Technology」の欧文字は,「科学技術」の意味を有する親しまれた英語であるものの,その指定商品との関係において,商品の品質を表示するものとして,直ちに理解されるとはいい難いものである。」

 

 そうすると、

 

「その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが相当である。」

 

 したがって、

 

「「カイラシュテクノロジー」の称呼のみを生じるものであり,特定の観念を生じないものである。」

 

 

 一方、引用商標は、

 

「「カイラシュ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 

 そこで、両者を比較すると、外観については、

 

「その全体の外観においては,図形の有無において,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。」

 

 そして、

 

「「Technology」の有無において,明らかな差異を有するものであるから,本件商標と引用商標は,全体の印象が異なり,十分に区別し得るものと認められ,外観上,相紛れるおそれはないものである。」

 

 称呼は、

 

「語尾における「テクノロジー」の音の有無という顕著な差異を有し,明瞭に聴別することができるものであるから,称呼上,相紛れるおそれはないものである。 」

 

 観念は、

 

「いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。」

 

 したがって、

 

「観念において比較できないものであって,外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから,」

 

 両商標は、非類似の商標とされました。

 

 

 今回は、一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 一部が共通していても、全体で造語とされれば非類似の場合があります。

 

 造語と認識させることが真似とは言わせないツボになります。

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