ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6210017号:上部左側に、右側面に凹みを有する青色の楕円形の図形と、その凹み部分に入るよう小さく右側に、左斜め下面に凹みを有する緑色の丸みを帯びた図形を組み合わせた図形(以下「図形部分」という。)を配し、その図形部分の真下に、図形部分と比較して3分の1程の大きさで、ゴシック体で表した、「GODA」の欧文字を配した構成、指定商品・役務:第36,37,42類の各役務の商標は、

 

 登録第4883690号商標:

 

 「ゴオーダ」(2文字目の「オ」は、他の文字よりやや小さく書されている。以下同じ。)の片仮名及び「GODA」の欧文字を上下二段に横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-003566)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は、

 

「上段の図形部分と、下段の文字部分とは、色彩の相違もあり、視覚上、明確に分離して看取されるものであり、これらを常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならない格別の事情があるとはいえないから、図形部分と文字部分とは、それぞれ独立して看取されるものである。」

 

 そうすると、

 

「その下段部分の「GODA」の文字部分も要部として着目して取引され得るものであり、該文字に相応して、「ゴダ」及び「ゴーダ」の称呼が生じ、該文字は、一般に親しまれた意味を有する成語とはいえないことから、一種の造語として理解されるものであり、これより特定の観念は生じないものといえる。」

 

 また、

 

「図形部分からは、特定の観念や称呼は生じないものである。」

 

 一方、引用商標の

 

「構成からして、上段に書された片仮名は、下段に書された欧文字の読みを特定したものと理解するのが自然であり、片仮名部分の「オ」の文字は、やや小さく書されているとしても、他の文字と比較して5分の4程の大きさがあり、前音に吸収されることなく、明確に発音されるといえるから、」

 

「「オ」にアクセントをおいた「ゴオーダ」の称呼が生じる。」

 

「 また、該片仮名及び欧文字は、辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、一種の造語であると解され、特定の観念を生じるものではない。」

 

 

 そこで、それぞれ比較すると、称呼については、

 

「本願商標の要部から生ずる「ゴーダ」及び「ゴダ」の称呼と引用商標から生ずる「ゴオーダ」の称呼とを比較すると、「ゴーダ」と「ゴオーダ」とは長音を含め3音と4音という極めて短い音構成において、第2音「オ」の有無という差異があり、」

 

「片仮名部分の「オ」の文字が一定の大きさをもって書されていることよりすれば、「オ」の部分が明確に強く発音されるといえるから、これが短い両称呼に及ぼす影響は大きいものといえ、」

 

「また、「ゴダ」と「ゴオーダ」とは、構成音数及び構成音が異なるばかりでなく、長音の有無の差異があり、それぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なり、容易に聴別できるものであるから、互いに紛れるおそれはない。」

 

 外観は、

 

「構成中に「GODA」の欧文字部分を有する点において共通するとしても、引用商標は片仮名と欧文字との二段書きからなり、本願商標の要部は一段書きからなること、また引用商標には対比すべき図形がないという差異を有することから、外観上においても判然と区別し得るものである。」

 

 さらに、観念は、

 

「両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。」

 

 したがって、

 

「観念において比較できないとしても、外観において判然と区分できるものであり、称呼において聞き誤るおそれがないものであるから、」

 

 両商標は、非類似の商標とされました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 一部が共通していても、称呼を特定したものがあれば、そちらの称呼が優先するので、違いが出てくることがあります。

 

 異なる部分を少しでも目立たせることが真似とは言わせないツボになります。

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