登録第6207935号:黒色太字の「CH」の文字と「ICE」の文字との間に白抜きの十字形を内包する赤色の円形を配してなるものと、その上方に、灰色の横長長方形内に白抜きで「DOCTOR’S」の文字を表したものを配してなる(両者の幅は、おおむね揃うように表されている。)構成、指定商品・役務:第5類の「サプリメント」の商標は、
(1)登録第4810153号商標:
同じ書体及び大きさで表された黒色の「Dr」の文字と「Choice」の文字との間に黒色の十字形を配してなる(当該十字形は、「r」の文字及び「C」の文字と一部重なるように表されている。)構成
(2)登録第5267152号商標:
青色の「Dr」の文字と「Choice」の文字(「D」の文字のみ筆記体で表されている。)との間に緑色の十字形を配してなり(当該十字形は、「r」の文字及び「C」の文字と一部重なるように表されている。)、さらに、当該「Choice」の文字の下方に、その文字に比して極めて小さく表された緑色の「ドクターズ チョイス」の文字を右詰めで配してなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-012406)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の構成中
「赤色の円形自体は、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものの、その左右に配された「CH」及び「ICE」の各文字を合わせ見たときは、その構成全体をもって、「選択」の意味を有する親しまれた英語である「CHOICE」の「O」の文字部分を図案化したものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。」
そうすると、
「灰色の横長長方形内に白抜きで「DOCTOR’S」の文字を表したものと図案化してなる「CHOICE」の文字とを、両者の幅をおおむね揃えてまとまりよく上下に配してなるものであり、」
「その構成中、「DOCTOR’S」の文字は、「医師、博士」の意味を有する英語の「DOCTOR」に所有格を表す「’S」を付加したものと看取、理解されるといえるから、その構成全体から「ドクターズチョイス」の称呼を生じ、「医師(又は博士)の選択」といった意味合いを想起させるものである。」
一方、引用商標1の構成中、
「「Dr」の文字は、「.」(ピリオド)の表示はないものの、そのつづりに照らし、「医師、博士」の意味を有する英語の「doctor」の省略形を表したものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。」
また、
「十字形は、その外形や配置に照らせば、「Dr」の文字と「Choice」の文字とを結びつける「+」(プラス)の記号を表したものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。」
そうすると、
「「Dr」の文字と「Choice」の文字とを「+」(プラス)の記号を介してまとまりよく一体的に表してなるものといえるから、その構成全体から「ドクタープラスチョイス」の称呼を生じ、「医師(又は博士)と選択」といった意味合いを想起させるものである。」
また、引用商標2の構成中、
「「Dr」の文字は、「.」(ピリオド)の表示はないものの、そのつづりに照らし、「医師、博士」の意味を有する英語の「doctor」の省略形を表したものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。」
また、
「十字形は、その外形や配置に照らせば、「Dr」の文字と「Choice」の文字とを結びつける「+」(プラス)の記号を表したものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。」
さらに、
「「ドクターズ チョイス」の文字は、その構成態様や配置に照らせば、他の文字等と密接な関連なく、その上方に大きく表された「Dr」の文字と「Choice」の文字との間に十字形を配してなるものに付記されたものと看取、理解されるとみるのが相当である。」
そうすると、
「「Dr」の文字と「Choice」の文字とを「+」(プラス)の記号を介してまとまりよく一体的に表してなるものを主体的に、「ドクターズ チョイス」の文字を付記したものといえるから、その構成中、当該主体的な部分からは、「ドクタープラスチョイス」の称呼を生じ、「医師(又は博士)と選択」といった意味合いを想起させるといえ、」
「また、当該「ドクターズ チョイス」の文字部分については、その「ドクターズ」が、例えば、「doctor」に所有格を表す「’s」を付加した「doctor’s」又は「doctor」の複数形である「doctors」のいずれの語の読みに相応するかなど、特定し難いことから、「ドクターズチョイス」の称呼を生じるものの、特定の意味合いを想起させるとはいえないものである。」
そこで、それぞれ比較すると、
「その文字の構成や配置において容易に区別し得る顕著な差異があるから、外観上、明確に区別し得るものである。」
また、「ドクターズチョイス」の称呼と「ドクタープラスチョイス」の称呼とは、
「「ドクター」と「チョイス」の各音の間において、「ズ」と「プラス」という音の明らかな差異があるから、それぞれを一連に称呼しても、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはない。」
さらに、「ドクターズチョイス」からは
「「医師(又は博士)の選択」といった意味合いが想起されるものである一方、」
「ドクタープラスチョイス」からは
「「医師(又は博士)と選択」といった意味合いが想起されるものであるから、これらを踏まえてみれば、両者は、観念においても相紛れるおそれはない。」
したがって、
「外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。」
とされました。
今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。
一部が共通していても、異なる部分の存在によって外観、称呼、観念が異なるのであれば、非類似となる場合があります。
異なる部分を少しでも投入することが真似とは言わせないツボになります。
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