ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6205798号:「リナーシェ」の文字と「Rinasce」の文字とを上下二段に表してなる構成、指定商品・役務:第3類の各商品の商標は、

 

(1)登録第5743633号商標:「ナノ水素リナーシェ」

 

(2)登録第5743634号商標:「ナノ H2 リナーシェ」

 

(3)登録第5967726号商標:「リナーシェ ハイドロ」

 

(4)登録第5967727号商標:「リナーシェ ハイドロリッチ」

 

(5)登録第5967728号商標:「リナーシェ ハイドロヘアーエッセンス」

 

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-003448)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は

 

「上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものである。」

 

 そして、

 

「「リナーシェ」及び「Rinasce」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないことからすれば、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「その構成全体に相応して、「リナーシェ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標1は、

 

「その構成中の「ナノ」の文字は「10億分の1を表す単位の接頭語」の意味を、「水素」の文字は「非金属元素の一種。無色・無臭の気体」の意味をそれぞれ有する語である(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)としても、「リナーシェ」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないものであり、その構成文字全体としては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。」

 

 そして、

 

「引用商標1の構成は、いずれも同じ書体、同じ大きさで等間隔に、まとまりよく一体に表されており、「リナーシェ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせないことから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「リナーシェ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成文字全体をもって一体不可分の商標として認識、把握するとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標1は、全体の構成文字に相応して、「ナノスイソリナーシェ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標2は、

 

「その構成中の「ナノ」の文字は「10億分の1を表す単位の接頭語」の意味を有する語であり、「H2」の文字は「水素分子」を表すものであるとしても、「リナーシェ」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないものであり、その構成文字全体としては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。」

 

 そして、

 

「引用商標2の構成は、いずれも同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体に表されており、「リナーシェ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせないことから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「リナーシェ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成文字全体をもって一体不可分の商標として認識、把握するとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標2は、全体の構成文字に相応して、「ナノエイチツーリナーシェ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標3は、

 

「その構成中の「リナーシェ」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないものであり、「ハイドロ」の文字は「水の、水素の」の意味で複合語を作るものである(「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」株式会社三省堂)としても、その構成文字全体としては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。」

 

 そして、

 

「引用商標3の構成は、いずれも同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体に表されており、「リナーシェ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせないことから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「リナーシェ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成文字全体をもって一体不可分の商標として認識、把握するとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標3は、全体の構成文字に相応して、「リナーシェハイドロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標4は、

 

「その構成中の「リナーシェ」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないものであり、「ハイドロ」の文字は「水の、水素の」の意味で複合語を作るものであり、「リッチ」の文字は「ぜいたくなさま、豊かなさま」の意味を有する語である(「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」株式会社三省堂)としても、その構成文字全体としては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。」

 

 そして、

 

「引用商標4の構成は、いずれも同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体に表されており、「リナーシェ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせないことから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「リナーシェ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成文字全体をもって一体不可分の商標として認識、把握するとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標4は、全体の構成文字に相応して、「リナーシェハイドロリッチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 引用商標5は、

 

「その構成中の「リナーシェ」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないものであり、「ハイドロ」の文字は「水の、水素の」の意味で複合語を作るものであり、「ヘアー」の文字は「髪の毛、頭髪」の意味を、「エッセンス」は「香料、香油」等の意味をそれぞれ有する語である(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」株式会社三省堂)としても、その構成文字全体としては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。」

 

 そして、

 

「引用商標5の構成は、いずれも同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体に表されており、「リナーシェ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせないことから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「リナーシェ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成文字全体をもって一体不可分の商標として認識、把握するとみるのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標5は、全体の構成文字に相応して、「リナーシェハイドロヘアーエッセンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 

 そこで、それぞれ比較すると、

 

「それぞれの構成文字及び態様において、明らかな差異を有するものであるから、」

 

「外観上、明確に区別できるものである。」

 

 称呼は、

 

「本願商標から生じる「リナーシェ」の称呼と、引用商標から生ずる各称呼とは、その音構成及び音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上、明瞭に聴別されるものである。」

 

 観念においては、

 

「いずれの商標も特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。」

 

 したがって、

 

「観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明らかに異なるものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。」

 

 とされました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 一部が共通していても、その部分のみで識別されるようなことがなければ、全体として非類似となる場合があります。

 

 共通部分に異なる部分をプラスするとが真似とは言わせないツボになります。

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