ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6187894号:「ARTZAL」、指定商品・役務:第5類の各商品の商標は、

 

 登録第4531899号商標:「ALTOZAR」の欧文字及び「アルトザール」の片仮名を上下二段に表してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-002310)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で、横一列に表され、全体としてまとまりのよい印象を与えるもので、構成全体としては、既成語を組み合わせたものでも、成語となるものでもないから、特定の語義を有しない一連一体の造語を表してなるものと認識される。」

 

 そして、

 

「英語風やローマ字風など多様な読み方が可能であり、必ずしも一つの称呼に特定されず複数の称呼をも生じ得るところ、その構成中の「ART(アート)」(「芸術。美術。」の意味を有する英語)(「広辞苑 第6版」岩波書店)の語及びその発音が我が国で親しまれていることを鑑みると、」

 

「その音節の位置に応じて、「アートザル」の称呼(「ART−ZAL」との音節に分けた場合)又は「アーツアル」の称呼(「ARTZ−AL」との音節に分けた場合)が生じ得るものである。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して、「アートザル」又は「アーツアル」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。」

 

 一方、引用商標の

 

「文字部分は、上下に近接して、横幅を揃えて表してなることから、外観上まとまりのよい印象を与えるものであり、下段の片仮名は、上段の欧文字部分の表音を表したものと容易に認識できるものである。」

 

 また、

 

「それぞれの文字部分は、特定の意味を有する成語とも、既成語を組み合わせたものとも看取できないから、特定の観念は生じない。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して、「アルトザール」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。」

 

 

 そこで、両者を比較すると、

 

「外観においては、構成文字及び文字種において明らかな差異があるため、互いの印象は異なったものになる。」

 

 称呼は、

 

「「アートザル」又は「アーツアル」と「アルトザール」の音は、構成音や音数に差異があるため、全体としての語調、語感が異なるものであり、互いに聴別することは容易である。」

 

 観念は、

 

「互いに特定の観念は生じないから、比較することができない。」

 

 そうすると、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないため、非類似の商標であるとされました。

 

 

 今回は、一見すると称呼が類似していそうな商標の類否が問題となりました。

 

 でも、その称呼が一般的である可能性が低ければ、非類似になる場合があります。

 

 一般的な称呼で考えることが真似とは言わせないツボになります。

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