ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6179054号:「くりぷ豚」、指定商品・役務:第9,41類の各商品・役務の商標は、

 

(1)登録第4973719号商標:
(2)登録第5044186号商標:

 

 左側に,中央に白い横線を配した長方形状の図形を表し,右側に「KRIPTON」の欧文字を表した構成

 

(3)登録第5044185号商標:「クリプトン」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-004683)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は、

 

「構成文字に相応して,「クリプトン」及び「クリプブタ」の称呼が生じるものである。そして,「豚」の文字が我が国において親しまれた動物を指称するものであることからすると,本願商標は構成全体として,「くりぷという名称の豚」程の観念を想起させることも少なくないといえる。」

 

 一方、引用商標1,2の

 

「構成部分は,視覚上分離して認識,把握されるものであり,また,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生じないというべきであるから,称呼上及び観念上のつながりはみられないものである。」

 

 そうすると、

 

「その図形部分及び文字部分を,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく,その構成中の図形部分及び文字部分のそれぞれを要部として抽出し,これを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。」

 

 そして、

 

「その構成中の「KRIPTON」の文字部分は,辞書等に載録されていないものであり,一種の造語として認識されるものであるから,当該文字部分に相応して「クリプトン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものといえる。」

 

 また、引用商標3の

 

「文字は「希ガス元素の一種。・・・空気中にわずかに存在する無色・無臭の気体。(広辞苑第6版 株式会社岩波書店)」の意味を有する語であるから,当該文字に相応して,「クリプトン」の称呼を生じ,「希ガス元素の一種」の観念を生じるものである。」

 

 そこで、これらを比較すると、引用商標1,2の外観とは、

 

「図形の有無の差異をも生じるものであるから,両商標は,外観上,見誤るおそれはなく,明確に区別し得るものである。」

 

 また、

 

「文字部分を比較しても,両商標は,それぞれ上記のとおりの構成からなり,文字種が明らかに異なるものであるから,両商標は,外観上,見誤るおそれはなく,明確に区別し得るものである。」

 

 引用商標3に対しては、

 

「文字種が明らかに異なるものであるから,両商標は,外観上,見誤るおそれはなく,明確に区別し得るものである。」

 

 称呼は、

 

「本願商標から「クリプトン」の称呼の称呼を共通にする場合もあるが,本願商標からは「クリプブタ」の称呼も生じるため,両商標に接する取引者,需要者にあっては,称呼は同じ場合と異なる場合があるといえる。」

 

 観念は、

 

「本願商標は,「くりぷという名称の豚」程の観念を想起させることも少なくないものであるが,」

 

 引用商標1及び引用商標2は、

 

「特定の観念を生じないものであり,」

 

 引用商標3は、

 

「「希ガス元素の一種」の観念を生じるものであるから,」

 

「観念において紛れるおそれはない。」

 

 したがって、

 

「称呼において同じ場合だけでなく異なる場合もあり,外観において明瞭に区別できるものであって,観念において相紛れるおそれのないものであり,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である」

 

 とされました。

 

 

 今回は、称呼の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 称呼が共通する場合があっても、外観や観念が大きく異なったり比較できなかったりすれば両者は識別できることになります。

 

 どこかで大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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