ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6172884号:青色の太線による「Nitto」の文字(ただし、その構成中の「i」の文字の上方にある「・」は、赤色。以下同じ。)を右にやや傾けて表してなるものと、その下方に、灰色の細線による「Innovation for Customers」の文字であって、上記「Nitto」の文字に比して小さく表してなるものを配してなる構成、指定商品・役務:第6,7,17,19,20,26,28類の各商品の商標は、

 

 登録第4885142号商標:4枚の羽根を有する羽根車様の図形の右方に、黒色の太線により表された「NI」の文字及び右端を時計回りにほぼ円状に丸めた横線であって、それを起点とする2本の鉛直線を付加した図形とを組み合わせてなるものと、それと全体の幅が揃うように小さく表された「NITTO KOHKI CO.,LTD.」の文字とを上下に配してなる構成

 

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-007560)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の「Nitto」の文字と「Innovation for Customers」の文字とは、

 

「それぞれの態様及び配置によれば、視覚上、分離して看取、把握されるものといえる。」

 

 また、

 

「当該「Nitto」の文字部分についてみれば、上記のような彩色等はされているものの、「Nitto」の文字を表してなるものとの認識を大きく超えるほどの特徴を備えたものとはいい難く、当該文字自体が特定の意味を有する既成の語として知られているともいい難い。」

 

 さらに、

 

「「Innovation for Customers」の文字部分は、全体として、平易な英語からなるものであって、「顧客のための革新」ほどの意味合いを想起させるものであり、その意味合いから企業の理念や経営方針等を表したものとして理解され得るものである。」

 

 加えて、

 

「構成全体から生じる「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」の称呼は、冗長というべきものである。」

 

 そうすると、

 

「これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中、「Nitto」の文字と「Innovation for Customers」の文字とを分離し、両文字のうち、上方に配置され、かつ、顕著に表された「Nitto」の文字に、より着目するとみるのが相当である。」

 

 してみれば、

 

「その構成中の「Nitto」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものといえるから、当該文字部分を引用商標と比較して、両商標の類否を判断することが許されるというべきである。」

 

 したがって、

 

「その構成全体をもって、「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるほか、その構成中の「Nitto」の文字部分に相応する「ニットー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標は、

 

「その構成中、当該羽根車様の図形は、特定の称呼及び観念を生じることのないものといえる一方、当該「NITTO KOHKI CO.,LTD.」の文字部分は、その全体をもって会社名を英語表記したものと認識されるものである。」

 

 また、

 

「当該文字部分の上方に位置するものは、その全体の構成態様に照らし、文字と図形との一体的な組合せとして看取、理解されるものとみるのが相当であるから、それ自体から特定の称呼及び観念が生じるとはいい難い。」

 

 そうすると、

 

「文字と図形とを結合してなるものであり、その構成中の「NITTO KOHKI CO.,LTD.」の文字部分から、「ニットーコーキカンパニーリミテッド」又は「ニットーコーキ」の称呼及び「ニットーコーキという会社」といった観念を生じるものの、それ以外から特定の称呼及び観念を生じないというべきである。」

 

 そこで、両者を比較すると、

 

「図形の有無や構成文字において明らかな差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。」

 

 また、

 

「本願商標から生じる「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」又は「ニットー」の称呼と引用商標から生じる「ニットーコーキカンパニーリミテッド」又は「ニットーコーキ」の称呼とを比較すると、両称呼は、いずれの比較においても、その音構成及び音数において顕著な差異があるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。」

 

 さらに、

 

「本願商標は特定の観念を生じないものであるに対し、引用商標は「ニットーコーキという会社」という観念を生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。」

 

 したがって、

 

「その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標である。」

 

 とされました。

 

 

 今回は、商標の一部が文字か図形か解釈の違いによる商標の類否が問題となりました。

 

 商標の一部を図案化した場合、それを文字とみるか図形とみるかで商標の識別性が変わります。

 

 図形と言い切ることが真似とは言わせないツボになります。

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