ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6167408号:上段に「Lycee」(4文字目の「e」にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の欧文字を,下段に「リセ」の片仮名を表してなる構成、指定商品・役務:第20類の各商品の商標は、

 

 登録第5630691号商標:上段に「Lyse」の欧文字を,下段に「リーセ」の片仮名を表してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-015697)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「両文字部分は上下二段に中心を揃えて近接して配置されていることから,構成上まとまりのよい印象を与えるもので,下段の片仮名部分が上段の欧文字部分に相応する称呼を特定していると看取できるから,これより「リセ」の称呼が生じる。」

 

 そして、

 

「「Lycee」の欧文字部分は,「リセ,高校」(参照:ディコ仏和辞典,白水社発行)の語義を有するフランス語と同じ綴りであるところ,その構成中にアクサンテギュ(フランス語で,母音の広狭を示し,また,同じ綴りで意味の異なる語を区別するための記号。)を含むため,何らかのフランス語の単語を表したものとの
印象は与えることがあるとしても,上記フランス語がその意味合いも含めて我が国において親しまれている語ではないから,これより特定の観念を生じるものではない。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して,「リセ」の称呼が生じるが,特定の観念は生じない。」

 

 これに対して引用商標の

 

「両文字部分は上下二段に両端を揃えて近接して配置されていることから,構成上まとまりのよい印象を与えるもので,下段の片仮名部分が上段の欧文字部分に相応する称呼を特定してなると看取できるから,これより「リーセ」の称呼が生じる。」

 

 そして、

 

「構成中「Lyse」の欧文字部分は,我が国で親しまれた語ではないから,これより特定の観念は生じない。」

 

 そうすると、

 

「その構成文字に相応して,「リーセ」の称呼が生じるが,特定の観念は生じない。」

 

 そこで、両者を対比すると、外観について、

 

「欧文字部分の比較においては,語頭の「Ly」及び語尾の「e」が共通するとしても,それ以外の構成文字「s」と「ce」(「e」にはアクサンテギュが付いている。)の相違から,構成全体としては異なる語を表してなると認識できる。」

 

「また,片仮名部分の比較においては,「リ」及び「セ」の構成文字が共通し,2文字目の長音記号の有無において異なるところ,全体で2文字又は3文字という短い文字構成であることもあり,当該記号の有無が構成文字全体の印象に与える影響は大きい。したがって,両商標は,外観において相紛れるおそれはない。」

 

 称呼を比較すると、

 

「語頭の「リ」及び語尾の「セ」の音が共通するとしても,第2音における長音の有無において異なるもので,全体で2音又は3音という短い音構成であることもあり,当該差異音は比較的明瞭に発音されるもので,称呼全体の印象に与える影響は比較的大きく,称呼において相紛れるおそれはない。」

 

 さらに、

 

「両商標は,いずれも特定の観念は生じないため,観念において比較できない。」

 

 したがって、,互いに誤認混同を生じるおそれはない非類似の商標であるとされました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 商標の一部が共通しても、短い構成であれば、一文字の違いも大きなものになります。

 

 短い構成であれば一文字でも異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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