ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6147897号: 「Joboco」の欧文字を,やや太めの角の丸い書体により表してなるところ,これらの文字の間隔は,やや広くほぼ同一の幅で設けられ,各文字のベースライン(文字の下部が位置する基準線)がそろえられ,前から2文字目,4文字目及び語尾の「o」の各文字の内側に,それぞれ水色,ピンク色及び黄色の同じ半円状の図形が配された構成、指定商品・役務:第9、43類の各商品・役務の商標は、

 

 登録第4812315号商標:「JOBCO」の欧文字を,セリフ(字画末端部にある爪のような張り出し部)を有するやや細めで縦長の書体により表してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2019-003270)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は

 

「全体的に,統一的な印象を与えるデザインが施されているものである。」

 

 また、

 

「「Joboco」の欧文字は,辞書類に載録された成語とは認められないから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものである。」

 

 そして、

 

「欧文字からなる造語の場合は,我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるものであるから,」

 

「英語の読みに倣って「ジョボコ」の称呼を生じるものである。」

 

 さらに、

 

「特定の観念を生じないものである。」

 

 

 一方、引用商標の文字は

 

「辞書類に載録された成語とは認められないから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものである。」

 

 そして、

 

「欧文字からなる造語の場合は,我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるものであるから,」

 

「英語の読みに倣って「ジョブコ」の称呼を生じるものである。」

 

 したがって、

 

「「ジョブコ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」

 

 

 そこで、両商標を対比すると、外観は、

 

「「Job(JOB)」と「co(CO)」のつづりが共通するとしても,中間部において「o」の有無という明らかな差異があること,また,その文字の態様においても,やや太めの角の丸い書体とセリフを有するやや細めで縦長の書体とで異なること,さらに,文字のデザイン化及び色彩の有無の差異を有することからすれば,
両者は,視覚的な印象が著しく相違し,外観上,判然と区別し得るものである。」

 

 次に、称呼においては、

 

「本願商標から生じる「ジョボコ」の称呼と引用商標から生じる「ジョブコ」の称呼とは,第2音において,「ボ」と「ブ」の差異を有するものであるが,共に全体がわずか3音からなるごく短い称呼においては,第2音の差異が,称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合,語調,語感を異にし,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。」

 

 そして、観念においては、ともに

 

「特定の観念を生じないものであるから,両者は,観念上,比較することができないものである。」

 

 そうすると、

 

「観念においては比較することができないとしても,外観においては,両者の構成文字及び態様に目立った差異を有するものであって,その印象が著しく相違し,判然と区別し得るものであり,称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから,」

 

 両者は非類似とされました。

 

 

 

 今回は、商標の構成の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 外観で共通する部分があったとしても、他の要素が異なっていたり、比較できなかったりして識別できるのであれば、非類似となる場合があります。

 

 少しでも異ならせたり、意味を感じさせないようにすることが真似とは言わせないツボになります。

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