ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6136935号: 「たんと」、指定役務:第43類の「飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供」の商標は、

 

 登録第5893294号:

 

 「ヤキスパ」の片仮名とその下に「TANTO」の欧文字を大きく書してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-012764)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「該文字は、「数量の多いさま。たくさん。」(岩波書店「広辞苑第7版」)の意味を有する語であるから、その構成文字に相応して「タント」の称呼を生じ、「たくさん」の観念を生じるものである。」

 

 

 一方、引用商標の

 

「両文字は、片仮名と欧文字という文字種の違いがあり、また、「TANTO」の欧文字が特徴的な書体で大きく書されていることからすると、構成中の「TANTO」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、」

 

「その構成中の「TANTO」の欧文字部分を要部として抽出し、この部分のみを本願商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。」

 

 そうすると、

 

「全体から生じる「ヤキスパタント」の称呼のほか、構成中の「TANTO」の欧文字に相応して「タント」の称呼を生じ、該文字は、一般的な英語の辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、特定の観念を生じないものである。」

 

 そこで、両者を対比すると、外観は

 

「それぞれの構成態様において明らかな差異を有するものであるから、外観上明確に区別できるものである。」

 

 また、

 

「「TANTO」の欧文字部分との比較においても、平仮名と欧文字という文字種が相違し、さらに、「TANTO」の欧文字が、特徴的な書体で書されており、両者は明らかな差異を有するものであるから、外観上明確に区別できるものである。」

 

 称呼においては、

 

「「タント」の称呼を共通にするものである。」

 

 観念においては、

 

「本願商標からは「たくさん」の観念を生じるのに対し引用商標からは特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上相紛れるおそれはない。」

 

 そうすると、

 

「称呼において共通する場合があるとしても、外観及び観念において明確に区別できるものであるから、」

 

 引用商標とは非類似とされました。

 

 

 今回は、称呼が共通する場合のある商標の類否が問題となりました。

 

 称呼が共通していても、外観や観念で相紛れることがなければ非類似となる場合があります。

 

 見た目を中心に違いをできるだけつくることが真似とは言わせないツボになります。

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