ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6096074号:左から順に,「快適」の漢字,斜めに傾く横長の楕円形の輪郭を背景にしてやや大きく表した「BIZ」の欧文字,真中が白抜きで十字又はプラス記号(+)を配した黒塗り四角状の図形及び「Plus」の欧文字を一連に横書きし,中央付近に配された「BIZ」の欧文字は,両端の文字に比して2倍ほど大きく表されなる構成、指定商品等:第25類の各商品の商標は、

 

 登録第4980592号:

 

 上段に「BIZPLUS」の欧文字,その下段にやや小さく「ビズプラス」の片仮名を,普通に用いられる書体で上下二段に横書きした構成

 

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-003377)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「構成各文字の大きさに多少の相違があり,構成中に楕円形の輪郭及び十字又はプラス記号(+)を含む図形を介在させてなるとしても,構成各文字はゴシック体風の統一した書体で表され,同書,等間隔で,下部をそろえてなり,かつ,極めて近接して横一連に並べて配して表されたものであるから,全体を一体のものとして把握,認識されるとみるのが自然である。」

 

 そして,

 

「「快適」の語は「ぐあいがよくて気持のよいこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有し,「BIZ」の語が「職業,商売(business)」等の,「Plus」の語が「・・・を加算して,をプラスして」等の意味をそれぞれ有する英語(小学館ランダムハウス英和大辞典第二版)として知られているとしても,」

 

「「快適」,「BIZ」及び「Plus」の各語が,本願の指定商品を取り扱う分野において特定の意味合いや具体的な品質等を表す語として使用されている実情も見受けられず,各語を結合した文字部分全体からも,直ちに特定の意味合いを想起させるものではない。」

 

 さらに,

 

「楕円形の輪郭及び十字又はプラス記号(+)を配した四角状の図形部分は,特定の意味合いを直ちに想起させない幾何図形と認められ,単に装飾的に配置されているとの印象を与えることから,これよりは特定の観念は生じないとみるのが相当である。」

 

 また,

 

「文字部分全体から生ずる「カイテキビズプラス」の称呼は,これ自体さほど冗長ともいえず,無理なく一連に称呼し得るものであり,楕円形の輪郭及び十字又はプラス記号(+)を配した四角状の図形部分からは,特定の称呼は生じないから,本願商標は「カイテキビズプラス」の称呼を生じるというべきである。」

 

 一方、引用商標は、

 

「下段の片仮名が上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解できるから,引用商標からは,「ビズプラス」の称呼が生じるものといえる。」

 

 また,

 

「「BIZPLUS」及び「ビズプラス」の語は,辞書等に載録がなく,特定の意味を持たない造語と認められ,引用商標は,特定の観念が生じないというべきである。」

 

 

 そこで、両者を対比すると、

 

「外観は,構成文字において,「BIZ」を共通にし,「Plus」と「PLUS」のつづりを同じくするが,それ以外の構成文字及び図形の有無の差異から,全体の印象が異なり,両者は明瞭に区別できるものである。」

 

 称呼を比較すると,

 

「本願商標からは「カイテキビズプラス」の称呼が生じるものであり,」

 

「引用商標からは「ビズプラス」の称呼が生じるものであるから,両商標は,「ビズプラス」の音を同じくするとしても,語頭における「カイテキ」の音の有無に明らかな差異があり,その音数及び音構成が相違するものであるから,それぞれ容易に聴別できる。」

 

 そして、

 

「両商標は,いずれも特定の観念は生じないことから,観念において比較することはできない。」

 

 

 よって、

 

「観念において比較することができないとしても,外観及び称呼が明らかに相違するから,両商標をそれぞれ同一又は類似の商品について使用しても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。」

 

 とされました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 一部が共通していてもその部分だけ抽出されるようなことがなければ非類似となります。

 

 一体感を持たせることが真似とは言わせないツボになります。

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