登録第6040766号:毛筆体で「弁天かき」の文字を横書きにし、その右下に小さく「BENTEN−KAKI」の欧文字を配してなる構成、指定役務:第31類の「牡蠣(生きているものに限る。)」の商標は、
登録第5163330号:
「ベンテンカンパチ」の片仮名と「弁天かんぱち」の文字を上下二段に横書きしてなる
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2017-009437号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「構成中の「BENTEN−KAKI」の欧文字部分は、上段の「弁天かき」の表音を欧文字表記したものと無理なく理解できるものであり、全体として外観上まとまりよく一体的に表されたものであって、その構成文字に相応して生じる「ベンテンカキ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。」
そして、
「「弁天」の文字は、「弁才天」の略称であることから、本願商標からは、「弁才天のかき」程の観念を生じるものである。」
一方、引用商標は、
「その構成中の「ベンテンカンパチ」の片仮名は、下段の「弁天かんぱち」の読みを片仮名で表記したものと容易に認識させるものであり、同じ書体、同じ大きさ、等間隔でまとまりよく一体的に表されたものであって、その構成文字に相応して生じる「ベンテンカンパチ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。」
そして、
「「弁天」の文字は、「弁才天」の略称であることから、引用商標からは、「弁才天のかんぱち」程の観念を生じるものである。」
そこで、両者を対比すると、
「その構成文字も態様も異なるものであって、全体として明らかな差異を有するものであるから、両商標は、外観上、明確に区別できるものである。」
称呼は、
「本願商標から生じる「ベンテンカキ」の称呼と、引用商標から生じる「ベンテンカンパチ」の称呼とは、構成音及び構成音数が明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に区別できるものである。」
観念は、
「本願商標から生じる「弁才天のかき」の観念と、引用商標から生じる「弁才天のかんぱち」の観念は、「弁才天」の部分が共通するとしても、両商標を全体としてみたときには、それぞれの観念が類似するものということはできない。」
として、外観、称呼及び観念において類似しないものであるから、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるとされました。
今回は、商標の一部が共通する商標の類似が問題となりました。
一部が共通しても全体として別物と認識できる場合には非類似となります。
全体構成で異なるものと認識させることが真似とは言わせないツボになります。
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