登録第5999920号:濃い灰色の角が丸い四角形の中に、家と思しき灰色の図形を配し、上段に「d」の欧文字を、下段に「リビング」の片仮名を、共に白抜きで表示してなる構成
指定商品は、第9、16、36、37、40、42、44、45類の各商品・役務です。
ところが、この商標は、
(1)登録第0505511号商標:長方形の枠の中に、ややデザイン化された「りびんぐ」の文字と「リビング」の文字とを上下二段に横書きしてなる構成
(2)登録第5192451号商標:黒色の縦長長方形の中に下から上に向かって「LIVING」の欧文字を書してなり、その長方形と一部が重なり頂点を鈍角とする線を描いた図形の中に「リビング」の片仮名を横書きしてなる構成
(3)登録第5699299号商標:「リビング」の片仮名と「LIVING」の欧文字を上下二段に横書きしてなる構成
(4)登録第5767952号商標:「RE VING」の欧文字と「リ・ビング」の片仮名を上下二段に横書きしてなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2017-008261号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の構成は、
「角が丸い四角形及び家と思しき図形に重ねて、「d」及び「リビング」の文字が表されており、全体が一体のものとして看取されるものである。」
そして、
「その構成中の文字部分については、「d」の文字がひときわ大きく顕著に表されており、看者に強く印象付けられるものであり、また、「リビング」の文字は、「生きていること。生活。暮らし。また、住まい。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)の意味を有する語であるところ、」
「生活、暮らしに関する分野において、一般に親しまれ、広く使用されている語であるから、生活や暮らしにかかわる商品やサービスにおいて、該文字は、さほど強い識別標識として機能するとはいえないものである。」
そうすると、
「その構成全体が一体のものとして看取されるものであって、かつ、その構成中の文字部分についても、「d」と「リビング」の文字が一体性をもって看取されるものであるから、「dリビング」として認識されるというのが相当である。」
そして、
「「dリビング」の文字は、特定の意味合いを理解させるとはいえないものである。」
してみれば、
「その構成中の文字部分に相応して、「ディーリビング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標1は、
「上段の「りびんぐ」の文字部分は、下段の「リビング」の文字部分をデザイン化した平仮名で表したものとして無理なく理解できるものである。」
そして、
「「リビング」の文字は、「生きていること。生活。暮らし。また、住まい。」の意味を有するものである。」
してみれば、
「その構成文字に相応して「リビング」の称呼を生じ、「生活、暮らし」程の観念を生じるものである。」
引用商標2は、
「「LIVING」及び「リビング」の文字は、「生きていること。生活。暮らし。また、住まい。」の意味を有するものである。」
してみれば、
「その構成文字に相応して「リビング」の称呼を生じ、「生活、暮らし」程の観念を生じるものである。」
引用商標3は、
「上段の「リビング」と下段の「LIVING」の文字部分は、同じ意味を有する片仮名と欧文字を表したものとして無理なく理解できるものである。」
そして、
「「リビング」及び「LIVING」の文字は、「生きていること。生活。暮らし。また、住まい。」の意味を有するものである。」
してみれば、
「その構成文字に相応して「リビング」の称呼を生じ、「生活、暮らし」程の観念を生じるものである。」
引用商標4は、
「「リ・ビング」の文字は、「RE VING」の読みを表したものと無理なく理解できるものである。」
そして、
「「リ・ビング」及び「RE VING」の文字は、いずれも辞書等に採録のない語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものである。」
してみれば、
「その構成文字に相応して「リビング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
そこで、これらと対比すると、外観については、
「それぞれの構成文字、図形の有無において、明らかな差異を有するものであるから、本願商標と引用商標とは、外観上、明確に区別できるものである。」
称呼は、
「本願商標から生じる「ディーリビング」の称呼と引用商標から生じる「リビング」の称呼とは、その音構成及び音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上、明確に聴別されるものである。」
観念は、
「本願商標は、特定の観念を有しない造語であり、引用商標1、2及び3は「生活、暮らし」程の観念を生じ、引用商標4は特定の観念が生じないものであるから、本願商標と引用商標は、観念上、類似するところがないものである。」
として、
「外観、称呼及び観念において類似しないものであるから、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、両商標は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じるおそれのない」非類似の商標とされました。
今回は、商標の一部が共通する商標の類似が問題となりました。
商標の一部が共通していても、図形を含めて全体で異なる印象を与えるものであれば非類似になる場合が多いです。
図形を入れたりそれ以外の文字部分を目立たせたりすることが真似とは言わせないツボになります。
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