ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5983607号:その左側に,外側に向けて放射状に連続した突起を有する歯車状の円形図形の内部を中央水平方向の枠線で連結し,その中に
「ASAHI」の欧文字を配してなる図形を表してなり(以下「左側部分」という。),その右側に,左側部分と高低を揃えて,上段に「人と食味の明日をめざす」の文字を,横線を介して,下段に太字の飾り文字で「技術のアサヒ」の文字を,それぞれ横幅をほぼ揃えて表してなる(以下「右側部分」という。)構成、指定商品・役務:第7,37類の各商品・役務の商標は、

 

 登録第671773号商標:円輪郭内に,上段に「ASAHI」の文字を左右に短い横線を配して表し,中段に翼を広げて飛ぶ鳥のようなシルエットを簡略に描いた図形を表し,下段に円輪郭の下側から上側に向けて盛り上がるように描かれた3本の円弧で,その最下側は黒塗りしてなる図形を表してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2017-007599号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は

 

「構成上,左側部分と右側部分とに分離して認識,理解されるもので,それぞれが独立した構成部分であるとの印象を与えるものであるから,本願商標に接する需要者,取引者は,左側部分と右側部分のそれぞれを,自他商品識別標識として強い印象を与える要部として認識,理解し,取引に当たるというべきである。」

 

 そして,

 

「「ASAHI」の文字部分は「朝昇る太陽」の意味を有する「あさひ(朝日,旭)」の語をローマ文字で表記したものと想起させるもので(参照:「広辞苑第6版」岩波書店発行),歯車状の図形部分は,前記文字部分からの連想もあいまって,放射状に光を照射する太陽を,歯車に似せて描いてなる可能性も示唆するもので,その構成全体に抽象的ながらも観念上のつながりがあるといえる。」

 

「そうすると,左側部分は,全体として特定の観念を生じるような図形ではないものの,歯車状の図形内に「ASAHI」の文字を一体的に組み合わせて表してなるものと認識,理解できるものである。」

 

「そのため,本願商標の左側部分は,構成全体としては特定の観念を生じるものではないが,称呼に関しては,その構成中,唯一の文字部分である「ASAHI」の文字に相応して「アサヒ」の称呼を生じる。」

 

「他方,本願商標の右側部分は,上段の「人と食味の明日をめざす」の文字部分は,直ちに具体的な観念を想起させるものではないが,漠然とした意味合いの標語を表してなることは理解できるもので,自他商品の識別標識としての与える印象は比較的弱いものである。」

 

「そして,その下段の「技術のアサヒ」の文字部分は,漠然とした意味合いとして「技術」に自信のある「アサヒ」なる名称の会社の標語を表してなるものであり,その書体も比較的目立つ態様よりなるものである。」

 

「そうすると,本願商標の右側部分の構成中,自他商品の識別標識として強い印象を与えるのは,その構成上及び観念上の対比を考慮すれば,比較的顕著に書された「技術のアサヒ」の文字部分というべきで,これより「ギジュツノアサヒ」の称呼が生じるが,特定の観念は生じない。」

 

 一方、引用商標の

 

「構成中「ASAHI」の文字部分は「朝昇る太陽」の意味を有する「あさひ(朝日,旭)」の語をローマ文字で表記したものと想起されるところ(参照:前掲広辞苑),この文字部分からの連想もあいまって,下段の内側が黒塗りされた3本の円弧は,黒塗りの内側の円から光の輪が二重に広がる,昇りつつある太陽を描いてなる可能性を想起させるものである。」

 

「そうすると,引用商標は,全体として特定の観念を生じるとはいい難いが,各構成要素をまとまりよく円輪郭内に一体的に表してなるものとは認識,理解できるものである。」

 

「そのため,引用商標は,その構成全体から生じる印象をもって取引されるというのが相当であり,上記のとおり,構成全体から特定の観念は生じないが,称呼に関しては,その構成中,唯一の文字部分である「ASAHI」の文字に相応して「アサヒ」の称呼を生じる。」

 

 そこで両者を対比すると、

 

「いずれも「ASAHI」の構成文字から生じる「アサヒ」の称呼を共通にする場合があるとしても,構成全体としての観念は生じないため,互いに比較することができない。」

 

 外観は、

 

「「ASAHI」の構成文字を共通にするものの,外枠の輪郭の態様は歯車状と円状とで相違し,鳥のようなシルエット図形の有無や各図形要素の構成態様なども著しく相違するため,それぞれの外観上の印象は著しく相違する。」

 

 

 として、

 

「両者の構成全体の外観における顕著な相違は,称呼の共通性を凌駕するものである」として非類似とされました。

 

 

 今回は、称呼の一部が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 称呼の一部が共通していても外観や観念が大きく異なる場合には非類似とされる場合が多いです。

 

 どこかで大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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