登録第5968918号: 「forAladdin」の欧文字を飾り文字で表し,その「A」の文字の左上部に波状の横線を配してなる構成、指定商品・役務:第16類の各商品の商標は、
(1)登録第4220949号商標:「ALADDIN」
(2)登録第4220950号商標:「アラジン」
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2017-004502号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「「forAladdin」の文字の書体及び大きさは同一であり,「A」の文字の左上部に波状の横線及び当該文字の左側の線が「r」の文字に重なるように配されているため,全体として視覚上まとまりのよい印象を与えるものである。」
そして、
「4文字目の「A」が唯一大文字で表されていることから,「for」と「Aladdin」の両英語を結合したものだと容易に理解でき,「for」の欧文字は「…のために」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の意味を有し,」
「「Aladdin」の欧文字は「アラジン:『アラビアン−ナイト』中の一遍『アラジンと魔法のランプ』の主人公」(「広辞苑 第6版」岩波書店)の意味を有する語であるため,全体として「アラジン(アラジンと魔法のランプの主人公)のために」程度の意味合いを生じるものである。」
そうすると、
「その構成文字全体に相応して,「フォーアラジン」の称呼を生じ,「アラジン(アラジンと魔法のランプの主人公)のために」の観念を生じる。」
一方、引用商標は、
「それぞれの構成文字に相応して,「アラジン」の称呼を生じ,「アラジン(アラジンと魔法のランプの主人公)」の観念を生じる。」
そこで、両者を対比すると、称呼については、
「語頭の「フォー」の音の有無による音数の相違から明らかな差異を有するため,十分に聴別し得るもので,称呼上,相紛れるおそれはない。」
次に、外観において、
「両商標は,全体としては異なる文字を表してなるものと容易に理解できるため,全体の印象は異なり,外観上,相紛れるおそれはない。」
また、観念において、
「両商標は,それぞれから生じる意味内容が異なることは容易に理解できるため,観念上,相紛れるおそれはない。」
よって、称呼,外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標とされました。
今回は、一部が共通する商標の類似が問題となりました。
商標の一部が共通していても視覚上まとまりのよい印象を与えるものであれば非類似となることもあります。
一体感を持たせることが真似とは言わせないツボになります。
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