ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5338171号:「播王」、指定商品:第7類「種まき機械器具,施肥用機械器具,除草機械器具,病虫害防除機械器具,その他の農業用機械器具 」は、登録第2696833号商標:「刃王」と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2009-015181号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 審判では、本商標の外観は明らかな差異があるものとした後、称呼については、どちらの商標も造語なので、一連の読みが直ちに特定できない、とした上で、

 

「播王」の構成中「播」の文字の読みは「ハ、バン、マ(ク)」であって、その字義は「(種を)まきちらす。ひろくしき及ぼす。」等であり、「王」の文字の読みは「オウ、キミ、オオキミ」であって、その字義は「君主。一国の統治者。キング。実力で第一位にある者。」等である(財団法人新村出記念財団「広辞苑 第六版 DVD-ROM版」、岩波書店、2008 )から、「播」及び「王」の各漢字一字のそれぞれの読みのうち、一連の読み方として音読みにより、「ハオー」又は「バンオー」の称呼が生ずる、としました。

 

他方、「刃王」の構成中「刃」の文字の読みは「ジン、ニン、ハ、ヤイバ」であって、その字義は「刀などの、は。やいば。やいばのついた武器。はもの。はもので切る。切り殺す。」である(前出「広辞苑」)から、「刃」及び「王」の各漢字のそれぞれの読みを組み合わせた一連の読みにより、「ジンオー」、「ニンオー」、「ハオー」又は
「ヤイバオー」の称呼が生ずる、としました。

 

となると、両商標は、「ハオー」の称呼を共通にする場合があります。

 

しかも、両商標が抵触関係にある指定商品は、共に農業関連の機械器具です。

 

通常であれば、類似と判断されてしまうところです。

 

ところが、指定商品をよくよく見てみると、農業においては、種をまくこと、肥料をまくこと等、あるものを「まく」ことを目的とした作業が多く含まれます。

 

そこで、指定商品として積極的に表示している「種まき機械器具」「施肥用機械器具」のように、これらの作業に対応する機械器具に接する取引者、需要者は、これから、「播王」という商標を「(種など)播く(機械)の王様(第一位にあるもの)」程の意味合いを強く認識する、としました。

 

一方、農業においては、作物の刈り取り、土を鋤くこと等の作業で用いられる機械器具で、刃の部分の品質が重要となるものが多く販売されていることから、「刃王」に接する取引者、需要者は、これから「刃物の王様(第一位にあるもの)」程の意味合いを認識する、としました。

 

つまり、両商標は、観念の上で、取引者、需要者に著しく異なった印象を与えるから、たとえ「ハオー」の称呼を共通にするとしても、両商標の外観及び観念において明らかな差異を有しており、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないというべきであるとして、引用商標とは非類似であると判断されました。

 

 今回は、商標の称呼が同一、指定商品も同一だけれども、非類似とされました。

 

 ここまで同じだと類似とされるケースが多いのですが、

 

「(種など)播く(機械)の王様(第一位にあるもの)」

「刃物の王様(第一位にあるもの)」

 

とで観念が大きく異なる、という主張も成立する場合があるのです。

 

 あきらめない、ということですね。

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