ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5923048号:内周に装飾を施した二重線で描く円図形の中に,最上部に金色の星型図形と,その下に近接して「MYTHOLOGIE」の文字を配し,中央部には「STELLORSA」の文字を他の文字要素に比べて大きなフォントで顕著に表し,その下には記載する内容は判読できないものの,3行にわたってアルファベットと思われる文字で書した文章を表してなり,最下部には「17」の数字,金色の星型図形,及び「13」の数字をまとまりをもって並列して表してなる構成、指定商品・役務:第18,25類の各商品の商標は、

 

(1)登録第4952952号商標:

 

 「Mythology」の文字と「ミソロジー」の文字を上下二段に表してなる構成

 

(2)登録第4998571号商標:

 

 「Mythology」の文字と「ミソロジー」の文字を上下二段に表してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2016-012420号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「「MYTHOLOGIE」の文字部分は,目を引く金色の星型図形の直下に配され,比較的看見る者の注意を引くような配置にある上,その他の文字部分や図形部分からは比較的離れて配置されているため,全体の構成上,独立した文字部分である印象を与える。」

 

「そして,当該文字部分は,「神話,神話学」の意味を有するフランス語(参照:ロワイヤル仏和中辞典,株式会社旺文社,2002年発行)ではあるものの,我が国では一般に親しまれた語ではないため,直ちに特定の観念を生じさせるものではなく,」

 

「「STELLORSA」の文字部分や「17」及び「13」の数字,その他の図形部分とは,観念上のつながりも見いだすことができないことに照らすと,「MYTHOLOGIE」の文字部分は,本願商標の各構成部分との間において,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど,不可分的に結合しているということはできないことから,当該文字部分は独立して自他商品の識別標識として機能し得るものと認められる。」

 

 そして,

 

「本願商標の要部である「MYTHOLOGIE」の文字部分は,上記のとおり我が国では一般に親しまれた語ではないため,特定の観念を生じさせるものではなく,また,当該文字部分から生じる称呼については,「アレルギー【Allergie ドイツ】」,「エネルギー【Energie ドイツ】」(広辞苑 第六版DVD−ROM版,株式会社岩波書店,2008年発行)のように「gie」を「ギー」と発音する例が見られることよりすれば,「ミソロギー」の称呼を生ずるというのが相当である。」

 

 一方、引用商標は、

 

「いずれも「Mythology」の欧文字及びその表音を示す「ミソロジー」の文字を上下二段に表してなることから,それぞれの文字に相応して「ミソロジー」の称呼を生じる。そして当該欧文字部分は「神話,神話学」の意味を有する英語「mythology」を表記したものであるものの(参照「小学館ランダムハウス英和辞典 特装版」,株式会社小学館,2002年1月10日発行),我が国では一般に親しまれた語ではないため,直ちに特定の観念を生じさせるものではないというべきである。」

 

 そこで、両者を対比すると、称呼は、

 

「本願商標の要部である「MYTHOLOGIE」の文字部分から生じる「ミソロギー」の称呼は,引用商標から生じる「ミソロジー」の称呼とは,全5音中4音を共通にし,異なるところは第4音の「ギ」と「ジ」の音の差異にあるところ,その差異音は母音「i」を共通にするものの,いずれも長音を伴っていることから比較的
強く聴覚されるものであって,両称呼が5音という比較的短い音構成からなることをも踏まえれば,上記の差異が,称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえないから,両語を一連に発音するときであっても,容易に聞き分けることができるものである。」

 

 外観は、

 

「本願商標の要部である「MYTHOLOGIE」の文字部分は,引用商標の「ミソロジー」の文字部分とは外観が著しく相違するも,「Mythology」の文字部分とは,語尾における「IE」と「y」の文字が相違するものの,前半8文字の綴りが共通であり,大文字と小文字の違いがあるものの,外観上は似通った印象を与えるものである。」

 

 また、観念は、

 

「本願商標の要部である「MYTHOLOGIE」の文字部分と引用商標からは特定の観念を生じないものであり,具体的な比較をすることができない。」

 

 

 として、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標とされました。

 

 

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★事例からわかったネーミングのツボ♪
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 今回は、商標の一部の類似が問題となりました。

 

 称呼で共通するところがあっても異なる一部が目立つものであれば聞き分け可能です。

 

 強調するところを異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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