ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5899139号:「栄雅」、指定商品・役務:第33類の各商品の商標は、

 

 登録第4272976号:「栄華」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2016-011141号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の文字は、

 

「「さかえる」ほどの意味合いを有する「栄」の漢字と、「みやびやかなこと」ほどの意味合いを有する「雅」の漢字とを結合したものであって、これらの漢字はいずれもごく親しまれたものであるものの、これらを結合した構成全体から、各漢字が有する上記意味合いを想起する以上に特定の意味合いが想起されるものではないから、本願商標は、特定の意味合いを有しない一種の造語と理解される。」

 

 してみると、

 

「その構成文字に相応して「エイガ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 

 

 一方、引用商標の文字は、

 

「「世に時めき栄えること」ほどの意味合いを有する親しまれた成語であるから、「世に時めき栄えること」の観念及び「エイガ」の称呼を生じるものである。」

 

 そこで、両者を対比すると、外観は、

 

「1文字目の「栄」の漢字が共通するものの、2文字目は前者は「雅」の漢字であるのに対し、後者は「華」の漢字であって、2文字からなる簡潔な構成のうち1文字が明らかに異なるものであるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはないものである。」

 

 次に称呼においては、

 

「共に「エイガ」の称呼を生じるものであるから、称呼上、同一のものである。」

 

 観念は、

 

「本願商標は、特定の観念を生じないものであるから、特定の観念を生じる引用商標とは、観念が共通するものとはいえない。」

 

 また、

 

「本願商標を構成する「栄」と「雅」の文字は、それぞれ「さかえる」、「みやびやかなこと」ほどの意味合いを有するごく親しまれた漢字であるから、本願商標に接する取引者、需要者は、これが上記意味合いの漢字によって構成されるものとして把握するといえる。」

 

 してみると、
「「世に時めき栄えること」との観念を生じる引用商標とは、観念上、相紛れるおそれはない。」

 

 してみれば、

 

「外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、たとえ、称呼を同一にするとしても、外観及び観念において相紛れるおそれがないから、商品の出所について誤認混同を生じない非類似の商標と判断するのが相当である。」

 

 とされました。

 

 

 今回は、称呼が同一の商標の類似性が問題となりました。

 

 称呼同一の場合には類似とされる場合がある一方、今回のように外観や観念が異なる場合に非類似となる場合もあります。

 

 異なり具合によって微妙なところがあるので、称呼が同一であってもできるだけ他の要素を異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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