登録第5893287号:大きく筆記体風に表された「J」の文字の右側に,「−Style」の文字を書し,同文字の下部に,「J」の文字と近接するように小さく「OYFUL ELI」の文字を書してなり,「J」の文字の飾りひげに相当する部分の先端には,ピンク色のハート状の図形が,また,「−Style」中の「y」の文字の上部にはピンク色の小さな「y」の文字が重なるように配されてなる構成、指定商品・役務:第35,45類の各役務の商標は、
(1)登録第4539749号:
「ジェイスタイル」及び「J−STYLE」を上下二段に書した構成
(2)登録第5253225号:「J−STYLE」
(3)登録第5525136号:「J−STYLE」
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2016-009019号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標は
「その構成中,大きく筆記体風に表された「J」の文字と,小さく書された「OYFUL ELI」中の「OYFUL」の文字部分が近接して表されていること及び「JOYFUL」の文字が「楽しい」を意味する英単語として広く一般に親しまれていることからすれば,両文字は一連として「JOYFUL」の英単語を表したもの
と容易に看取されるとみるべきである。」
そうすると、
「その構成文字に相応して,「J−Style」の文字部分から「ジェイスタイル」の称呼が,「JOYFUL ELI」の文字部分から「ジョイフルエリ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものというべきである。」
一方、各引用商標からは、
「それぞれの構成文字に相応して,「ジェイスタイル」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというべきである。」
そこで、引用商標と対比すると、まず外観は、
「文字数及び構成の差異,図形の有無から,両者の外観は明らかに相違するものであり,両者は,外観上,明確に区別できるものである。」
次に、称呼は、
「「ジェイスタイル」の称呼において本願商標と引用商標の称呼は共通することがある。」
また、観念については、
「ともに特定の観念を生じないものであるから,両商標は,観念上,比較することができないことから,観念において相紛れるおそれはない。」
そうしてみると、
「「ジェイスタイル」の称呼を共通にする場合があるとしても,これが外観における顕著な差異を凌駕するものではなく,観念において相紛れるおそれはないものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,両商標は,これを同一又は類似の役務に使用しても,役務の出所について混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。」
とされました。
今回は、称呼が共通する場合の類似が問題となりました。
称呼が共通していても、外観や観念が大きく異なったり、比較できないような場合には、全体として相紛れるおそれがないとして非類似とされる場合があります。
大きく異ならせるだけでなく比較できないような視点を採用することが真似とは言わせないツボになります。
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