ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5797674号:黄色の矩形内に、上段に「焼肉・冷麺」の文字を赤色で配してなり、その下段には、赤色の三角形と円形及び線を組合せた幾何学的な図形3個を、横に並べて配置した構成、指定商品・役務:第43類の「飲食物の提供」の商標は、

 

 登録第4169076号商標:「やまと」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2015-011847号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「下段の3個の図形からは、その外形的特徴や配置に鑑みれば、「ヤマト」の片仮名を相当程度デザイン化して表したものといえるものであり、さらに、「ヤ」と「ト」に当たる部分の下方は、点線が4段に配列されており、本願商標は、その構成全体が、強く印象に残る特徴のある態様で表されたものと認められる。」

 

「そして、本願商標の上段に配された「焼肉・冷麺」の文字は、本願の指定役務「飲食物の提供」との関係においては、飲食物の種類を表したものといえるから、自他役務の識別標識として機能を有さないものといえる。」

 

 そうとすると、

 

「その構成中「ヤマト」の文字部分から、「ヤマト」の称呼が生じるものであり、また、かかる構成においては、特定の意味合いを想起させることのないものといえるから、特定の観念を生じないものである。」

 

 一方、引用商標は、

 

「その構成文字に相応して、「ヤマト」の称呼が生じ、該平仮名は、「旧国名。今の奈良県の管轄。」の意味(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を有する「大和」の語の読みであることから、かかる意味合いを容易に想起し得るものである。」

 

 そうとすると、

 

「「ヤマト」の称呼が生じ、「旧国名。今の奈良県の管轄。」程の観念が生じるものである。」

 

 そこで、両者を対比すると、外観は、

 

「一見して判然と区別し得る顕著な差異を有するものであるから、相紛れるおそれはない。」

 

 また、称呼は、

 

「同一にするものである。」

 

 観念は、

 

「引用商標からは、「旧国名。今の奈良県の管轄。」の観念を生じるのに対し、本願商標からは、特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念において相紛れるおそれはないものである。」

 

 そうとすれば、

 

「称呼において同一であるとしても、その外観及び観念の相違によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、出所の混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。」

 

 とされました。

 

 

 

 今回は、称呼同一の商標の類否が問題となりました。

 

 称呼同一とはいえ、外観や観念では紛らわしくない場合には、非類似とされる場合があります。

 

 外観や観念を大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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