登録第5793033号:「SPACCIO」、指定商品・役務:第3類の各商品の商標は、
登録第5033713号商標:
「SPASIO」の欧文字及び「スパシオ」の片仮名を二段に横書きしてなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2015-009013号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「文字は、伊和辞典に「密売。販売。小売り店。」などの意味(伊和中辞典[第2版]小学館)を有する語である旨の記載があるものの、我が国において、該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に広く知られているとはいい難いものである。」
「そうとすると、「SPACCIO」の文字からなる本願商標は、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当であるから、特定の観念を生じないものである。」
「そして、特定の語義を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるから、本願商標は、「SPACCIO」の構成文字に相応して「スパッチオ」又は「スパッシオ」の称呼を生じるものである。」
一方、引用商標の
「「SPASIO」及び「スパシオ」の文字は、いずれも我が国において一般的に使用されている辞書等に掲載されていないものであり、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものであるから、引用商標は、その構成全体として特定の観念を生じないものである。」
そして、
「下段の「スパシオ」の片仮名は、上段の「SPASIO」の欧文字の読みを表したものと無理なく理解されるものであるから、引用商標は、「SPASIO」及び「スパシオ」の構成文字に相応して「スパシオ」の称呼を生じるものである。」
そこで、両商標を対比すると、外観は、
「本願商標が7文字の欧文字を横書きした構成であるものに対し、引用商標は6文字の欧文字と4文字の片仮名を二段に横書きした構成であって、両商標は、全体として、外観上明かな差異を有するものである。」
「また、両商標の構成中、独立して自他商品の識別力を有する「SPACCIO」及び「SPASIO」の欧文字部分においても、語頭の「SPA」の3文字及び語末の「IO」の2文字が共通しているものの、」
「本願商標は7文字、引用商標は6文字と構成文字数が異なるほか、少ない文字数の中にあって、中央部において「CC」と「S」の文字が異なっており、しかも、差異となっている「C」の欧文字が重ねて配されており、看者の目にとまりやすいことをも勘案するならば、視覚上、一見してその差異を把握し得るものである。」
として、
「外観上、明確に区別し得るものといえる。」
称呼は、
「本願商標の「スパッチオ」の称呼と引用商標の「スパシオ」の称呼、さらに、本願商標の「スパッシオ」の称呼と引用商標の「スパシオ」の称呼を比較するに、」
「両商標の称呼は、ともに短い5音と4音という簡潔な音構成からなるものであって、その中で、前者の称呼の比較においては、促音の有無及び「チ」の音と「シ」の音が異なり、また、後者の称呼の比較においては、促音の有無が異なり、語調、語感が異なるものであるから、該差異がこれらの称呼に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、本願商標と引用商標とは、称呼上、相紛れるおそれはないものといえる。」
観念は、
「ともに特定の観念を有しないものであるから、観念上、相紛れるおそれがあるということはできない。」
として、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないものであるから、非類似の商標とされました。
今回は、欧文字標記の商標の類否が問題となりました。
特定の語義を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼されるとみるのが自然とされます。
英語読みではどう読むかを考えることが真似とは言わせないツボになります。
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