ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5788022号:上段に「ChuLip」の欧文字と下段に上段の欧文字部分に比べかなり小さく書された「チューリップ」の片仮名を二段に横書きしてなり、該文字部分の背景として、赤色で上部が窪んだ横長の楕円形様の図形(上段の「ChuLip」の文字中の「C」及び「p」の各文字の一部が該図形からはみ出て表示されている。)を配した構成、指定商品・役務:第3類の各商品の商標は、

 

 登録第5061163号商標:

 

 「Chu&Lip」及び「チュウ&リップ」の文字を二段に横書きしてなる構成

 

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2015-005332号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「下段の「チューリップ」の文字部分は、上段の「ChuLip」の欧文字の読みを表したものと認められるものであり、一方、上段の「ChuLip」の欧文字部分については、「Lip」の文字が「くちびる」の意味を有する英語であるが、」

 

「同じ書体をもって、視覚上、まとまりよく一体的に表されているものであって、該文字部分全体から生じる「チューリップ」の称呼も冗長ではなく、一気一連に称呼し得るものであり、」

 

「「Chu」、「chulip」あるいは「Chu Lip」の語が辞書類に載録されている語でなく、また、特定の意味を表すものとして親しまれた語であるともいえないことから、本願商標は、全体として、「チューリップ」の称呼が生じる特定の意味を看取させない一種の造語と認識されるというのが相当である。」

 

 そうとすると、

 

「「ChuLip」及び「チューリップ」の文字部分に相応して「チューリップ」の称呼のみが生じるものであって、該文字部分は、特定の意味を生じない一種の造語と認識されるものといえる。」

 

 

 一方、引用商標は

 

「下段の「チュウ」及び「リップ」の文字部分は、上段の「Chu」及び「Lip」の欧文字の読みを表したものといえる。」

 

 そして、

 

「上段の「Chu&Lip」の文字部分は、同じ書体、同じ間隔をもって、視覚上、まとまりよく一体的に表されているものであって、該文字部分全体から生じる「チュウアンドリップ」の称呼も格別冗長であるとはいえず、一気一連に称呼し得るものである。」

 

 加えて、

 

「「&」の記号が「アンド。『・・・と・・・』の意。」を表すものであり、「Lip」の文字が「くちびる」の意味を有する英語であるが、「Chu」の文字は、辞書類に載録されている語ではない。」

 

 また、
「「Chu」及び「Lip」の文字部分は、それぞれの頭文字が大文字で表されているものの、「Chu」及び「Lip」の語を組み合わせた「chulip」あるいは「Chu Lip」の語も、辞書類に載録されている語でなく、特定の意味を表すものとして親しまれた語であるとはいえない」

 

 そのため、

 

「全体として、「チュウアンドリップ」の称呼が生じる特定の意味を看取させない一種の造語と認識されるというのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「「Chu&Lip」及び「チュウ&リップ」の構成文字に相応して「チュウアンドリップ」の称呼のみが生じるものであって、特定の意味を生じない一種の造語と認識されるものといえる。」

 

 

 そこで、両者と対比すると、外観は、

 

「全体としては、図形の有無、さらには、文字の配置、構成文字数など明らかな差異を有するものであり、また、両商標の構成中の欧文字部分を比べても、「Chu」及び「Lip」の欧文字が含まれていることが共通しているものの、」

 

「本願商標は6文字、引用商標は7文字(「&」を含む。)と構成文字数が異なり、さらに、互いに少ない文字数による簡潔な構成において、「&」の有無など明らかな差異を有するものであり、いずれも、一見してその差異を把握し得るものであるから、外観においては、両商標は、明確に区別し得るものである。」

 

 称呼は、

 

「本願商標は「チューリップ」の称呼を生じるものに対し、引用商標は「チュウアンドリップ」の称呼を生じるものであり、その音数及び音構成が明らかに異なるものであるから、称呼においても、両商標は、明確に聴別し得るものである。」

 

 観念は、

 

「ともに特定の観念を有しないものであるから、観念において両商標が相紛れるおそれはない。」

 

 よって、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないものであるから、非類似の商標とされました。

 

 

 今回は、一部の文字が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 一部の文字が共通する商標であっても、全体を総合的に判断して外観、称呼、観念に混同が生じなければ非類似となります。

 

 混同を起こさないように文字を入れたり抜いたりすることが、真似とは言わせないツボになります。

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