ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5763346号:「BLACK ELK」、指定商品・役務:第25類の各商品の商標は、

 

(1)登録第895292号商標:

 

 シカと思われる図形の下部に、「elk」の欧文字と「エルク」の片仮名とを上下二段に表示してなる構成

 

(2)登録第4145547号商標:「ELK」

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2014-022297号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は

 

「「BLACK」と「ELK」との各文字の間には、1文字分の空白が設けられているものの、それ自体は、欧文字表記における単語間の区切りとして理解されるにすぎないものであるから、殊更「BLACK」と「ELK」とに分けて観察される態様であるとまではいえず、」

 

「むしろ、各文字は、同じ書体、同じ大きさ及び同じ間隔で、まとまりよく一体的に表記されているものといえる。また、全体の文字数も8文字にすぎず、特に冗長ではない。」

 

 また、

 

「前半の「BLACK」の語は、形容詞として「黒い、黒色の」等の、名詞として「黒、黒色」等の意味を有する中学学習程度の基本英単語であり、また、後半の「ELK」の語は、シカの一種である「ヘラジカ」ないし「ワピチ」の意味を有する名詞の英単語である(株式会社大修館書店発行「ベーシック ジーニアス英和辞典」)。」

 

「なお、「ELK」の語に関しては、「広辞苑第6版」にも、「エルク【elk】」の見出し語の下、「ヘラジカ。シカの一種ワピチのこと。」との説明がある。」

 

「そして、後半の「ELK」の語は、必ずしもなじみのある英単語であるとまではいえないとしても、上記した「BLACK」の語義に照らせば、本願商標の「BLACK」は、その後にある「ELK」を修飾する形容詞としての「黒い、黒色の」との意味で理解されるのが通常である。」

 

「そうすると、「ELK」の上記意味を知る者であれば、商標全体として「黒いヘラジカ(ワピチ)」の意味合いを想起するものと認めるが、その意味を知らない者であれば、「黒い『ELK』」といった程度の理解にとどまり、特定の意味合いは想起し得ないものと認める。」

 

「なお、たとえ、「BLACK」の英単語が、多くは、それ単体であれば、一般に商品の色彩を表示するための語として、取引上類型的に採択、使用されることがあるとしても、本願商標のように、「BLACK」が「ELK」の前側にあることに照らすならば、本願商標をその指定商品に使用しても、当該「BLACK」部分は、指定商品の色彩、その色彩が表す機能等を具体的に表示するものとして、取引者、需要者に認識されることはほとんどないと認めるのが相当である。」

 

 称呼については、

 

「その構成全体から「ブラックエルク」との称呼を生じるものと認めるが、それ自体も7音にすぎず、一連によどみなく称呼できるものである。」

 

 すなわち、

 

「その構成全体を一体不可分のものと認めるのが相当であり、「ブラックエルク」との称呼のみが生じ、その観念については、「ELK」の語義を知っている者においては、「黒いヘラジカ(ワピチ)」との観念を生じるものと認めるが、それを知らない者においては、特定の観念を生じないものと認める。」

 

 一方、引用商標は、

 

「いずれも「エルク」との称呼を生じるものと認める。」

 

「また、それぞれの観念については、各文字部分からは、前記(1)イと同様に、「ELK(elk)」(エルク)の語義を知っている者においては、「ヘラジカ(ワピチ)」との観念を生じるものと認めるが、それを知らない者においては、特定の観念を生じないものと認める。」

 

「なお、引用商標1については、図形部分からは、「シカ」を想起するものといえるから、文字部分の語義を知らない者であっても、「シカ」程度の観念は生じ得るものと認める。」

 

 そこで、両者を比較すると、

 

「外観においては、「BLACK」の文字の有無、また、称呼においては、「ブラック」との称呼の有無という、いずれも明白な差異を有するものであり、さらに、観念についても、それぞれ、上述の観念が生じる場合であっても、あるいは生じない場合であっても、相紛れるおそれはないものである。」

 

 として、非類似の商標とみるのが相当であるとされました。

 

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 

 商標の一部が共通している場合、その部分だけ認識される可能性が出てしまいます。

 

 共通しない部分が指定商品との関係でありふれた語句にならないようにすることが、真似とは言わせないツボになります。

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