登録第5759657号:「LIPAGLYN」、指定商品・役務:第5類の「薬剤(医薬用のもの),薬剤」の商標は、
(1)登録第4826012号商標:
「レパグリン」の片仮名と「REPAGLIN」の欧文字を二段に横書きしてなる構成
(2)登録第5141864号商標:
「REPAGLIN」の欧文字と「レパグリン」の片仮名を二段に横書きしてなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2014-016019号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標は、
「特定の意味を有する既成語とは認められないものであり、かつ、特定の意味合いを有する語として一般に親しまれたものともいえないものである。」
「そうとすれば、本願商標は、その構成文字に相応する「リパグリン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標1は、
「該各文字の配置に照らせば、上段に位置する片仮名は、下段の欧文字の読みを特定するものと無理なく認識できるものであり、また、該各文字は、いずれも、特定の意味を有する既成語とは認めらず、かつ、特定の意味合いを有する語として一般に親しまれたものともいえないものである。」
「そうとすれば、引用商標1は、その構成文字に相応する「レパグリン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。」
引用商標2は、
「「レパグリン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。」
そこで、これらと比較すると、外観は、
「本願商標は「LIPAGLYN」の欧文字からなるのに対し、引用商標1は「レパグリン」の片仮名と「REPAGLIN」の欧文字を上下二段に、また引用商標2は引用商標1の構成文字の上下を逆に表してなるものであるから、本願商標と引用商標とは、全体の外観から受ける視覚的印象においては明らかな相違があり、相紛れるおそれがあるとはいえないものである。」
称呼については、
「本願商標から生じる「リパグリン」の称呼と、引用商標から生じる「レパグリン」の称呼とは、共に5音構成からなるところ、5音中、「パ」「グ」「リ」「ン」の4音を同じくし、語頭における「リ」と「レ」の音に差異を有するものである。」
「そして、差異音の「リ」と「レ」の音は、前者が、舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎をはじくようにして発する有声子音「r」と、母音「i」との結合した音節「ri」であるのに対し、」
「後者は、同じ子音「r」と母音「e」との結合した音節「re」であって、その母音「i」と「e」とは近似するものであるから、「リ」と「レ」の音も近似する音ということができるものであり、」
「さらに、続く「パ」の音が比較的強く発音されることも勘案するならば、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。」
また、観念においては、
「本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じない造語からなるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。」
「してみれば、本願商標と引用商標とは、称呼において類似するとしても、外観及び観念において相紛れるおそれのない」
として、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すると、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標とみるのが相当であるとされました。
今回は、称呼が共通する商標の類否が問題となりました。
称呼が相紛らわしくても、外観や観念が異なる場合には、非類似とされることがあります。
3つの要素のうち、どれか一つが近くてもその他を異ならせることが真似とは言わせないツボになります。
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