登録第5759643号:「MR.waffle」、指定商品・役務:第35、43類の各役務の商標は、
登録第5069002号商標:
概略、上部に配置された図形部分と、下部に配置された文字部分(筆記体の「the Original」と活字体の「KC Waffle Dog」とを二段書きした部分)とから構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2014-008367号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の、
「前半の「MR.」は、「(男性の姓又は姓名の前に付けて)…さん、…氏」の意味を有する平易な英語として広く親しまれていることから、それに続く後半の「waffle」は、「ワッフル」と読む男性の姓を表したものと理解し、商標全体として「ワッフルさん」程の意味合いで認識するのが通常である。」
「したがって、本願商標からは、「ミスターワッフル」の称呼及び「ワッフルさん」程の観念を生じる。」
一方、引用商標の、
「図形部分と文字部分とは、外観上、共に目立つ態様で上下に明確に分かれていること、また、観念上も、直ちにまとまりのある意味合いを理解させるものではないことからすれば、このうちの図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているということはできない。引用商標の図形部分を分離して観察することは妥当である。」
として、図形部分について検討すると、
「帽子部分を子細にみると、その正面中央には青地に白抜きで「KC」の欧文字が表示されていること、帽子の前部のつばには同じ青地に白抜きで「MR.WAFFLE」の欧文字がごく小さく表示されていることが確認できる。」
「「KC」の欧文字の高さは、キャラクターの身長に対して10分の1以下であるが、「MR.WAFFLE」の欧文字の高さに至っては、その「KC」に対して更に5分の1程度のものであり、したがって、後者の文字は、図形部分の中でも、注意深く観察しないと気が付かない程に小さく表示されているものであるといえる。」
さらに図形部分の文字についてみると、
「需要者が当該文字部分を観察するとすれば、同じ青地に白抜きで大きく表示されている「KC」部分にまず着目し、続いて、その下部に近接して小さく表示されている「MR.WAFFLE」部分を見るのが通常であるといえる。」
「そして、この帽子に大きく表示された「KC」部分は、引用商標の下部に配置された文字部分のうち、活字体で大きく表示された「KC Waffle Dog」の欧文字部分の先頭にも同様の「KC」部分があることともあいまって、なおさら重要な文字部分として理解されるものというべきである。」
「そうすると、帽子に表示された文字部分にあっては、この「KC」部分をあえて省略し、それよりはるかに小さく表示された「MR.WAFFLE」部分のみが抽出されることはないとみるのが相当である。」
「そして、他に、図形部分から、「MR.WAFFLE」部分のみを積極的に抽出しなければならないとする合理的な理由は見いだせない。」
「したがって、仮に、図形部分から文字部分が抽出されるとしても、それは「KC MR.WAFFLE」ないし「KC」部分のみであると認められるから、引用商標からは、「MR.WAFFLE」部分のみに着目した「ミスターワッフル」の称呼及び「ワッフルさん」程の観念は生じないというべきである。」
として,本願商標と引用商標とは非類似であるとされました。
今回は、商標の一部が共通する商標の類否が問題となりました。
図形がからむと、類否判断も少し複雑になりますが、結局どこに注目するかによって判断されます。
一体感がある商標の一部であることが真似とは言わせないツボになります。
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