ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第5426917号:「RUNE」、指定商品・役務:第24,25,28類の商標は、

 

 登録第4443540号商標:

 

 「Rene」の構成の末尾の「e」の文字の上にフランス語で用いられるアクサン記号が付されている構成

 

 と類似する、とされて無効審判が請求されました。

 

 

 そこで、登録は有効であるとして審決取消訴訟(平成26年(行ケ)第10264号)が提起されました。

 

 では、裁判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標は、

 

「RUNE」の欧文字を標準文字により横一行に書してなる。」

 

 また、

 

「RUNE」(「rune」)は,英語では「@ルーン文字,北欧古代文字,A神秘的な記号」等の意味を有する名詞であるが(株式会社研究社「新英和中辞典」第7版参照),これを知る取引者,需要者はもとより,これを知らない取引者,需要者においても,我が国における英語の普及率や使用頻度が非常に高いことに
照らせば,「RUNE」との欧文字を無理なく英語風の読み方で発音することが多いと考えられるから,本件商標からは「ルーン」との称呼が生じ得る。」

 

「また,「RUNE」との欧文字をローマ字読みすれば,「ルネ」と発音されるから,本件商標からは「ルネ」の称呼が生じ得る」

 

 観念は、

 

「「RUNE」は,上記(2)記載のとおり,英語では「@ルーン文字,北欧古代文字,A神秘的な記号」等の意味を有する名詞であるが,かかる英単語が我が国において一般的に知られた語であるとまではいえないから,必ずしも本件商標から特段の観念が生じるとは認められない。」

 

 一方、引用商標は

 

「「Rene」の構成の末尾の「e」の文字の上にフランス語で用いられるアクサン記号が付されている。」

 

 称呼は、

 

「フランス語では「ルネ(男の名)」の意味を有する名詞であり,」

 

これを知る取引者,需要者は,

 

「無理なくフランス語の読み方で発音すると考えられるから,本件商標からは「ルネ」との称呼が生じ得る。」

 

 これに対し,フランス語単語を知らない取引者,需要者においては,

 

「これを無理なくフランス語の読み方で発音するとは考え難く,かかる取引者,需要者においては,これを英語風又はローマ字読みで発音するものと考えられるから,本件商標からは「レネ」との称呼も生じ得る」

 

 観念については、

 

「フランス語では「ルネ(男の名)」の意味を有する名詞であり,これを知る取引者,需要者においては,引用商標から「ルネなる男の名」との観念が生じるといえる。」

 

 他方,フランス語単語を知らない取引者,需要者においては,

 

「引用商標から特段の観念を生じない」

 

 ここで、引用商標と対比すると、称呼については

 

「いずれも「ルネ」の称呼を生じる場合がある点では共通である。」

 

 一方、

 

「本件商標と引用商標とは,観念において類似するとは認められない」

 

 外観については、

 

「ともに欧文字4文字を横一行に書してなり,語頭が「R」(大文字)から始まる点で共通するが,これに続く3文字は,本件商標では「UNE」であるのに対し,」

 

 引用商標では「ene」の末尾の「e」の文字の上にフランス語で用いられるアクサン記号であって,さらに

 

「本件商標が全て大文字で表記されているのに対し,引用商標では全て小文字で表記され,かつ,末尾の「e」の上にはアクセント記号が付されている点で相違しており,本件商標と引用商標とは,外観上明確に相違するといえる。」

 

 ということで、

 

「「ルネ」との称呼が同一である場合が生ずるものの,外観上明確に相違するものであること,観念において類似するとはいえない」

 

 として、非類似の商標であるとされました。

 

 

 今回は、称呼が共通する場合がある商標の類否が問題となりました。

 

 外観や観念に大きな相違があれば、相紛れるおそれがない、として非類似とされる場合もあります。

 

 称呼ではなく、外観や観念の場合も同様です。

 

 どれか一つがどうしても紛らわしくなりそうなときでも、他の2つの相紛れるおそれをなくすことが、真似とは言わせないツボになります。

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