登録第5616316号:「SMACON」(「A」と思しき部分は,「ー」部分が「・」で表されている。以下「SMACON」と記載する。)の欧文字を表してなり、その構成文字は,縦横の直線と角を丸くした文字を基調にした構成、指定商品・役務:第9類、第28類、第37類、第42類の各商品・役務の商標は、
(1)登録第4618765商標:
「住まいのコンビニエンス」の文字と「スマコン」の片仮名とを上下二段に書してなる構成
(2)国際登録第929268号商標:
赤色で表した楕円状の図形に重なるように「SMACOM」の欧文字を一体的に表してなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2013-002630号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「「SMACON」の欧文字からは,「スマコン」の称呼を生ずるものであり,また,該文字は,特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから,特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標1の
「「住まいのコンビニエンス」の文字からは,「住まいの便利」程の意味合いを認識させるものであるが,「スマコン」の片仮名は,特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから,引用商標1は,特定の観念を生じないものである。」
そこで、両者を対比すると、
「外観については,それぞれの構成態様に照らし,両者は,明確に区別し得る差異を有するものであり,また,本願商標と引用商標1の「スマコン」の文字部分とを比較しても,上記したとおり,本願商標の文字態様は,かなり特徴的な文字としての印象を与えるものであるから,両者は,外観上互いに相紛れるおそれはないものである。」
称呼については、
「共に「スマコン」の称呼を生ずるものであるが,本願商標から生ずる「スマコン」と,引用商標1から生ずる「スマイノコンビニエンススマコン」又は「スマイノコンビニエンス」の称呼とは,その音構成,構成音数において著しい差異を有するものであるから,両者は,称呼上相紛れるおそれはないものである。」
観念については、
「いずれも特定の観念が生じないものであるから,両者は,観念上類似するところはないものである。」
また、引用商標2の
「「SMACOM」の欧文字部分からは,「スマコム」の称呼を生ずるものであり,また,該文字は,特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから,引用商標2は,特定の観念を生じないものである。」
そこで両者を比較すると、外観については,
「本願商標の文字態様は,かなり特徴的な文字としての印象を与えるものであり,また,引用商標2は,赤色で表した楕円状の図形と文字の一体的な構成を有しているものであって,それぞれの構成態様に照らし,明確に区別し得る差異を有するものであるから,両者は,外観上互いに相紛れるおそれはないものである。」
称呼は、
「語尾における「ン」と「ム」の音の差異にすぎないものであるから,それぞれ称呼するときは,語調,語感が近似し,両者は,称呼上互いに相紛れるおそれがあるものと認められる。」
観念については、
「いずれも特定の観念が生じないものであるから,両者は,観念上類似するところはないものである。」
として、称呼において類似するとしても,外観においては明確に区別でき,観念において類似するものではないことから,両商標の比較において,称呼の類似が他の外観及び観念の差異等を凌駕するものとはいい難く,外観,称呼及び観念を総合的に判断すると,両商標は,商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれのないものではなく、非類似であるとされました。
今回は、称呼が類似する場合の商標の類否が問題となりました。
通常は、称呼が類似する場合には商標も類似と判断されることが多いです。
でも、外観や観念で相当の差異がある場合には、非類似とされることもあります。
観念よりも外観での差別化が真似とは言わせないために効くツボになります。
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