登録第6594752号:欧文字「e」の左右に、水色の太さの異なる曲線、青色の太さの異なる線及び緑色の葉の形状の図形を組み合わせてなるものを配置し、全体として、「川」の意味を有する英語「river」と思しき欧文字を表してなる構成、指定役務:第35類の各役務です。

 

 ところが、この商標は、

 

 登録第5704488号商標:横長の黒い長方形の内部において、上段に「RIVER」の欧文字を白抜きで横書きしてなり、下段に横長の緑色の長方形を配置しその内部に横長の曲線状の切り込み(「下段図形部分」という。)を有する構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2021-017274)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「構成は、欧文字「i」にあたる部分に緑色の葉の形状の図形を有し、欧文字「v」にあたる部分の左側に上方から下方へ流れる水を想起させるような特徴的な図形部分を有し、また、欧文字「r」と「i」にあたる部分は、いずれもその上部先端が同じように傾斜した形状であること等により、」

 

「構成全体として流れる水と緑色の葉のイメージを想起させる特徴的で統一的なデザインが施されているとの印象を与えるものである。さらに、色彩構成についても、水色、青色、緑色の3色が全体にバランス良く配色され、全体として青色を基調とした明るい印象を与えるものである。」

 

以上によれば、

 

「構成全体として、それぞれの構成要素が調和し構成全体として流れる水と緑色の葉のイメージを想起させ、色彩構成が明るい印象を与える外観上の特徴を有するものといえるから、」

 

「これに接する取引者、需要者に、そのような外観上の特徴を有する商標であるとの強い印象を与え、その印象によって記憶され取引に資されるものということができる。」

 

そうすると、

 

「英語「river」と思しき欧文字を特徴的な態様で表してなるものとして、「リバー」の称呼及び「川」の観念を生じ得るとしても、当該称呼及び観念に着目するのではなく、その外観上の特徴から生じる印象によって、役務の出所を識別し、取引に当たるものというのが相当である。」

 

一方、引用商標の

 

「各構成要素が横長の黒い長方形の内部にまとまり良く配置され、その色彩構成も黒色、白色、緑色の3色が全体にバランス良く配色され、全体として黒色を基調としたやや暗めの重たい印象を与えるものであり、」

 

 また、

 

「下段図形部分は、上段の「RIVER」の文字部分が「川」の意味を有する英語であることもあいまって、流れる川をも想起させるものであるから、上段の「RIVER」の文字部分と下段図形部分とは、観念上の関連性を有するといえる。」

 

そうすると、

 

「引用商標は、外観及び観念において一体的な印象を与えるものである。」

 

以上によれば、

 

「これに接する取引者、需要者に、構成全体か不可分一体の商標であると認識させるものであり、また、それぞれの構成要素が調和し構成全体として川のイメージを想起させ、色彩構成が暗めの重たい印象を与える外観上の特徴を有するものであるから、」

 

「これに接する取引者、需要者に、そのような外観上の特徴を有する商標であるとの強い印象を与え、その印象によって記憶され取引に資されるものということができる。」

 

したがって、

 

「その構成中の「RIVER」の文字部分のみが役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできず、当該文字部分のみを引用商標の特徴部分とすることはできないものであるから、その構成中の唯一の文字部分である「RIVER」の文字に相応して「リバー」の称呼及び「川」の観念を生じ得るとしても、当該称呼及び観念に着目するのではなく、その構成全体から生じる印象によって、役務の出所を識別し、取引に当たるものというのが相当である。」

 

そこで、両者を比較すると、

 

「いずれも、構成全体として取引者、需要者に強い印象を与える外観上の特徴をそれぞれ有するものであるところ、両者は外形及び色彩構成が大きく相違し、態様において全く異なる印象を与えるものであることから、両商標は、顕著な外観上の差異が認められるものである。」

 

 また、称呼及び観念については、

 

「本願商標が、英語「river」と思しき欧文字を特徴的な態様で表してなるものとして、「リバー」の称呼及び「川」の観念を生じ得るとしても、当該称呼及び観念に着目するのではなく、その外観上の特徴から生じる印象によって、役務の出所を識別し、取引に当たるものというのが相当であること、」

 

「引用商標が、その構成中の唯一の文字部分である「RIVER」の文字に相応して「リバー」の称呼及び「川」の観念を生じ得るとしても、当該文字部分のみが役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできず、その構成全体から生じる印象によって、役務の出所を識別し、取引に当たるものというのが相当であることに照らせば、」

 

「いずれも「リバー」の称呼及び「川」の観念を生じ得るとしても、その称呼及び観念の共通性が、顕著な外観上の差異による自他役務識別力を上回るものとはいえないというべきである。」

 

 したがって、非類似の商標と判断されました。

 

 

 今回は、称呼や観念が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 外観、称呼、観念の一つでも共通すると類似とされやすい中、識別力をどう表現するか、という視点で非類似となりました。

 

 どれか一つでも突き抜ける違いを出すことが真似とは言わせないツボになります。

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