登録第6393405号:青色の「MR」の欧文字とオレンジ色の「ai」の欧文字を結合した「MRai」の欧文字とその上部に当該文字に比して小さく青色の「ミライ」の片仮名を書してなる構成、指定商品:第44類の「医療情報の提供」の商標は、
(1)登録第5438502号商標:
「上辺部の丸い凹みに円図形を配した右側に湾曲した三角図形と三角図形の先と交差する四角図形とを、引用商標1の構成の左端下部からその構成中の「My」の文字の上にかけて、「y」の文字中の短い斜め線と一続きになるかのように、少し空けて帯状に連ねた幾何学図形(以下、単に「図形」という(色彩が異なるものを含む。)。)とその右側に「MyRLAi」(構成中の「y」の文字は、「M」の文字、「R」の文字及び「L」の文字と同じ大きさで書され、「M」と「y」の各文字の一部は結合されている。「R」、「L」及び「A」の各文字の一部は結合されており、「A」の横線は記載されていない。「i」の上の「・」は、図形中の円図形と同じ大きさ、同じ高さで書されている。以下同じ。)の欧文字を黒色で横書きにし、当該文字中の「My」の下に「み」の平仮名を、「RL」の下に「ら」の平仮名を、「i」の下に「い」の平仮名を記載してなる」構成
(2)登録第5680400号商標:
「オレンジ色に彩色された引用商標1と同様の図形及び「MyLAi」(構成中の「y」の文字は、「M」の文字及び「L」の文字と同じ大きさで書され、「M」の文字と「y」の文字の一部は結合されている。「L」の文字と「A」の文字の一部は結合されており、「A」の横線は記載されていない。「i」の上の「・」は、図形中の円図形と同じ大きさ、同じ高さで書されている。以下同じ。)の欧文字を横書きにし、当該文字中の「My」の下に「み」の平仮名を、「L」の下に「ら」の平仮名を、「i」の下に「い」の平仮名を記載し、引用商標2の図形中の湾曲した三角図形、「LA」及び「i」の縦線部分、「ら」及び「い」をオレンジ色で、その他の部分を薄いオレンジ色で描写してなる」構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-008663)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「「MRai」の欧文字は、一般的な辞書等に載録された特定の意味を有する語ではなく、また、この文字が、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないから、一種の造語として認識されるものである。」
さらに、
「上段の「ミライ」の片仮名は、下段の「MRai」の欧文字の上部に近接して配置されていることから、その読みを表したものと看取される場合があるといえる。」
そうすると、
「その構成中の「MRai」の欧文字部分が、自他役務の識別標識としての機能を有する本願商標の要部と判断するのが相当である。」
したがって、
「その構成全体から生じる「ミライエムアールエーアイ」の称呼のほか、「ミライ」の称呼及び「エムアールエーアイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
一方、引用商標1の
「構成中の「み」、「ら」及び「い」の平仮名は、「My」を「み」と、「RLA」を「ら」と、「i」を「い」と、それぞれその読みを表したものと容易に認識されるものである。」
そして、
「「MyRLAi」の欧文字は、一般的な辞書等に載録された特定の意味を有する語ではなく、また、この文字が、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないから、一種の造語として認識されるものであり、また、上記のとおり、「MyRLAi」の欧文字の直下に配された「みらい」の平仮名は、その読みを表したものと認識されることからすれば、「MyRLAi」の欧文字からは「ミライ」の称呼を生じるものである。」
また、
「図形は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。」
そうすると、
「その構成中の図形及び「MyRLAi」の欧文字が、自他役務の識別標識としての機能を有する引用商標1の要部と判断するのが相当である。」
したがって、
「「MyRLAi」の欧文字に相応して、「ミライ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
また、引用商標2の
「構成中の「み」、「ら」及び「い」の平仮名は、「My」を「み」と、「LA」を「ら」と、「i」を「い」と、それぞれその読みを表したものと容易に認識されるものである。」
そして、
「「MyLAi」の欧文字は、一般的な辞書等に載録された特定の意味を有する語ではなく、また、この文字が、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないから、一種の造語として認識されるものであり、また、上記のとおり、「MyLAi」の欧文字の直下に配された「みらい」の平仮名は、その読みを表したものと認識されることからすれば、「MyLAi」の欧文字からは「ミライ」の称呼を生じるものである。」
また、
「図形は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。」
そうすると、
「その構成中の図形及び「MyLAi」の欧文字が、自他役務の識別標識としての機能を有する引用商標2の要部と判断するのが相当である。」
したがって、
「「MyLAi」の欧文字に相応して、「ミライ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
そこで、それぞれを対比すると、
「外観全体が明らかに相違し、また、本願商標の要部である「MRai」の欧文字と引用商標1の要部である図形及び「MyRLAi」の欧文字並びに引用商標2の要部である図形及び「MyLAi」の欧文字との比較においても、図形の有無及びそれぞれの構成態様が著しく相違し、判然と区別し得るものである。」
そうすると、
「外観において、類似しないものである。」
また、称呼は、
「両商標は、「ミライ」の称呼を共通にする場合があるものの、「ミライエムアールエーアイ」及び「エムアールエーアイ」の称呼にあっては、全体の音数及び音構成が異なり、明確に聴別されるものである。」
さらに、観念においては、
「いずれも特定の観念を生じないから、比較することができない。」
そうすると、
「「ミライ」の称呼を共通にする場合があり、観念は、比較することができないとしても、これらの外観は、著しく相違し、判然と区別できるものであり、その外観における相違が顕著であることから、」
非類似の商標と判断されました。
今回は、一部の称呼が共通する商標との類似が問題となりました。
称呼が共通する場合があっても、外観などで明確に識別できれば非類似となる場合があります。
外観、称呼、観念のどれかを大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。
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