登録第6295061号:「HiMARI」、指定商品:第14類の「指輪,ネックレス,イヤリング,身飾品,宝玉の原石,時計,貴金属,記念カップ,記念たて」です。
ところが、この商標は、
登録5179243号商標:
上段に、オレンジ色で縁取りした黄色の円と半円からなる擬人化された図形を、中段に、薄オレンジ色で縁取りした黄色の太字で「ひまり」の平仮名を、下段に、中段に比して小さく、緑色で「SHOPPING CENTER」の欧文字を配置した構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-006390)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じないものである。」
そして、
「特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、」
「「ヒマリ」の称呼を生じるものとみるのが相当である。」
一方、引用商標の
「図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、図形部分からは特定の称呼及び観念は生じないものである。」
一方、
「文字部分は、「ひまり」の平仮名と「SHOPPING CENTER」の欧文字からなるところ、その構成中の「ひまり」の文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じないのに対して、「SHOPPING CENTER」の文字は、「多くの商店が集中した区域や施設。」(「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する平易な英語であって、他の語と結合してショッピングセンターの名称を指称するものとして、一般に広く使用されているものであるから、「引用商標全体として「ひまりという名前のショッピングセンター」程の意味合いを認識させるものということができる。」
また、
「指定役務との関係において、「SHOPPING CENTER」の文字は、主として指定役務の提供場所を表すものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いものといえ、引用商標の構成において、下段の文字に比べ、ひときわ大きく表されている「ひまり」の文字部分も独立して自他役務の出所識別標識として機能し得るといえる。」
そうすると、
「構成全体から、「ヒマリショッピングセンター」の称呼及び「ひまりという名前のショッピングセンター」の観念を生じるほか、構成中の「ひまり」の文字部分に相応して、「ヒマリ」の称呼を生じ、該文字は、上記のとおり一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じないものである。」
そこで、両者を比較すると、
「商標全体としては、引用商標はその構成中に、引用商標の半分以上を占める擬人化された黄色の図形や「SHOPPING CENTER」の欧文字を有するものであるから、外観上、明らかに区別できるものである。」
また、
「引用商標構成中の「ひまり」の文字部分との比較においては、本願商標の「HiMARI」の文字は、構成中の1文字(i)を小文字とし、黒色の欧文字で表しているのに対して、引用商標構成中の「ひまり」の文字は、図形と同色の黄色で、厚みをもって縁取りした平仮名で表されたものであるから、両者を見誤ることはなく外観上、明らかに区別できるものである。」
称呼は、
「本願商標からは「ヒマリ」の称呼が生じ、引用商標からは「ヒマリショッピングセンター」の称呼が生じるから、両者は、構成音や構成音数の明らかな違いにより容易に聴別できるものである。また、引用商標からは「ヒマリ」の称呼も生じ得るものであるから、両商標は、「ヒマリ」の称呼を共通にする場合があるものである。」
観念においては、
「引用商標から「ひまりという名前のショッピングセンター」の観念が生じる場合には、観念上紛れるものではなく、また、引用商標構成中の「ひまり」の文字部分との比較においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念において比較できないものである。」
さらに、
「商標の使用において、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更して表示される取引の実情があるとしても、引用商標の「ひまり」の文字をローマ字で表示する場合、一義的には「i」の文字を小文字にして「HiMARI」とするのが通常とまではいえず、外観上の関連性を見出せない。」
そうすると、
「称呼において引用商標の複数ある称呼の1つで共通する場合があるとしても、上記のとおり、外観においては明らかに区別できるものであるから、」
非類似の商標と判断されました。
今回は、称呼の一部が共通する商標の類否が問題となりました。
称呼の一部が共通していても、外観などが大いに異なる場合は全体として非類似になる場合があります。
外観を異ならせることが真似とは言わせないツボになります。
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