ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6107882号:上段に白抜きで極太の「h」の欧文字を図案化した図形を配し,中段に「HOTEL’S」の欧文字を大きく書してなり,下段に「hiorie」の欧文字を小さく書した構成、指定商品等:第24類の「布製身の回り品,バスタオル,タオルケット,まくらカバー,布団カバー」の商標は、

 

 登録第5294655号:

 

 上段に大きく書した「W」の欧文字と,その下段に「HOTELS」の欧文字とを二段に書してなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2018-005021)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「図形部分の白抜きで極太の「h」の欧文字を図案化した図形は,特定の事物・事柄を表したものとは直ちに理解し難い構成からなるものといえるから,この部分から特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。」

 

 また、

 

「「HOTEL」の欧文字は,我が国において,宿泊施設である「ホテル」を意味する英語として,「’S」の欧文字は,名詞の所有格を表す英語として,一般に広く知られているものであるから,「HOTEL’S」の構成全体から「ホテルの」の意味を認識させるものである。そして,「hiorie」の欧文字は,辞書等に載録された成語ではなく,特定の意味を有しない一種の造語と認められ,特定の観念は生じないものである。」から、

 

「図形部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識,理解するというのが相当であり,要部である文字部分をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断することが許されるというべきである。」

 

 さらに、

 

「「HOTEL’S」の欧文字と「hiorie」の欧文字は,それぞれ異なる大きさ,太さで書されていることから,外観上,明瞭に区別して認識することができること,かつ,両者は観念的なつながりも認められないことからすると,両者は,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであるから,」

 

「「HOTEL’S」及び「hiorie」のそれぞれも出所識別標識としての機能を有する要部として認識,理解するというのが相当であり,要部である「HOTEL’S」の欧文字をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断することも許されるというべきである。」

 

 してみれば、

 

「文字部分における構成全体から生じる「ホテルズヒオリエ」の称呼のほか,大きく表された「HOTEL’S」の欧文字に相応して「ホテルズ」の称呼及び「ホテルの」の観念が生じるものであり,「hiorie」の欧文字に相応して「ヒオリエ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。」

 

 一方、引用商標の

 

「構成中「HOTELS」の欧文字は,英語「HOTEL」の複数形で「ホテル」の意味を認識させるものであるところ,語尾に「HOTELS」の文字を付して,ホテルの名称を表すことが一般に行われていることからすると,かかる構成にあっては,その構成全体をもって一体不可分に表されたホテルの名称として認識,把握されるとみるのが自然である。」

 

 そうすると、

 

「「ダブリュウホテルズ」のみの称呼を生じるものであり,ホテルの名称としての「Wホテルズ」の観念が生じるものである。」

 

 そこで両者を対比すると、外観は、

 

「両者は「HOTELS」の欧文字のつづりを共通するものの,「’」(アポストロフィ),「hiorie」及び「W」の欧文字の有無,並びに書体に明らかな差異を有するものであるから,見誤ることはなく,外観上,相紛れるおそれはないものである。」

 

 また、

 

「要部である「HOTEL’S」の欧文字と引用商標の外観においては,両者は「HOTELS」の欧文字のつづりを共通するものの,「’」(アポストロフィ)及び「W」の欧文字の有無,並びに書体に明らかな差異を有するものであるから,見誤ることはなく,外観上相紛れるおそれはないものである。」

 

 称呼は、

 

「本願商標の要部である文字部分全体又は「HOTEL’S」の欧文字のみから生じる「ホテルズヒオリエ」又は「ホテルズ」の称呼と,引用商標から生じる「ダブリュウホテルズ」の称呼とは,その構成音の差異により,それぞれ明瞭に聴別できるものである。」

 

 観念は、

 

「本願商標の要部である文字部分全体からは,特定の観念を生じないものであり,要部である「HOTEL’S」の欧文字のみからは,「ホテルの」の観念が生じる一方,引用商標からは,ホテルの名称としての「Wホテルズ」の観念を生じるものであるから,本願商標と引用商標は,観念において相紛れるおそれはないものである。」

 

 そうすると、

 

「外観において判然と区別し得るものであり,称呼においても明瞭に聴別できるものであって,観念において相紛れるおそれはないから,これらを総合的に勘案すると,相紛れるおそれのない,非類似の商標というのが相当である。」

 

 さらに、

 

「その他の構成図形及び文字において明らかな差異を有するものであるから,その他の構成要素を勘案しても,両商標が類似の商標であると判断すべき特段の事情は見いだせない。」

 

 として非類似であるとされました。

 

 

 今回は、一部が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 一部が共通していても全体で異なる印象があれば非類似となります。

 

 共通部分だけで目立たないようにすることが真似とは言わせないツボになります。

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