ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6051775号:右斜め上に傾いた黒塗りの横長の楕円に沿って,大きさの異なる3つの三日月状の図形を左右下部に不規則に配してなる図形と,その右側に,図形部分と同程度の高さで「HAYATE」の欧文字を配し,その欧文字の下部中央に「ハヤテ」の片仮名を配した構成、指定商品:第28類の「卓球ラケット用ラバー」です。

 

 ところが、この商標は、

 

 登録第4154763号:「NINJA」の欧文字と,当該欧文字に比較して2.5倍程度の大きさからなる籠字による「HAYATE」の欧文字とを,上下左右の先端に向かってより細くなる細身の十字状の図形を介して,互いにセンタリングして近接させて配した構成

 

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2017-014725号)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、この商標の

 

「図形部分と文字部分とは,外観上,明確に分離して配されているところ,その文字部分である「HAYATE」及び「ハヤテ」は,「急にはげしく吹き起こる風。しっぷう。」の意味を有する「はやて(疾風,早手)」(広辞苑第6版)の語を,欧文字と片仮名で表記したものと容易に想起し得るため,それぞれの構成文字に相応して,「ハヤテ」の称呼及び「急にはげしく吹き起こる風。しっぷう。」の観念を生じるものというべきである。」

 

 また、図形部分は、

 

「特定の意味合いを直ちに想起させない幾何図形と認められることから,これより特定の称呼及び観念は生じない。」

 

 よって、

 

「図形部分と文字部分とは,外観上分離して看取し得るものであり,また,称呼上及び観念上のつながりもないことから,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず,それぞれが独立して商品の識別標識としての機能を果たし得るというのが相当である。さらに,文字部分についても,欧文字と片仮名のそれぞれが独立して商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。」

 

 したがって、

 

「「ハヤテ」の称呼及び「急にはげしく吹き起こる風,しっぷう」の観念が生じるものと認められる。」

 

 一方、引用商標の

 

「図形部分は,十字部分の上下左右の長さが,二段書きされた文字の高さ・長さにほぼ合わせられており,上段と下段の文字部分を結び付ける役割を果たすための背景的図形と解されるにすぎないから,これより特定の称呼及び観念は生じない。」

 

 また、文字部分の

 

「「NINJA」及び「HAYATE」は,それぞれの語単独では,「忍びの者。忍術使い。」の意味を有する「にんじゃ(忍者)」及び「急にはげしく吹き起こる風。しっぷう。」の意味を有する「はやて(疾風,早手)」の各語(前掲書)を欧文字で表記したものと容易に想起させるものであるが,」

 

「これらの文字を互いにセンタリングして近接させて配し,しかも,下段の「HAYATE」の文字は,上段の「NINJA」の文字に比し,籠字で,より大きく,太く表されていることからすれば,当該「HAYATE」の欧文字については,上記辞書上の意味で理解されるというよりは,「NINJA」の欧文字とあいまって,「HAYATE(ハヤテ)」と称する忍者の固有名称を表したものと印象付けられるというのが相当である。」

 

そうすると、

 

「欧文字部分全体からは,「ニンジャハヤテ」の称呼及び「『HAYATE(ハヤテ)』と称する忍者」の観念を生じ得るというべきである。そして,欧文字部分全体から生じる「ニンジャハヤテ」の称呼は,6音であって冗長というほどのものではない。」

 

 したがって、

 

「「ニンジャハヤテ」の称呼及び「『HAYATE(ハヤテ)』と称する忍者」の観念が生じるものと認められる。」

 

 

 そこで、両者を対比すると、

 

「外観全体では,異なる文字部分(「ハヤテ」の片仮名及び「NINJA」の欧文字)及び異なる図形部分を有しているなどの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できる。」

 

 また、

 

「本願商標の要部となり得る「HAYATE」,「ハヤテ」及び図形部分のそれぞれと引用商標とを比較した場合も,「NINJA」の欧文字の有無,文字種の相違及び図形の相違等により,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できる。」

 

 また、称呼は、

 

「本願商標から生じる「ハヤテ」の称呼と,引用商標から生じる「ニンジャハヤテ」の称呼とは,語頭における「ニンジャ」の3音の有無という明確な差異を有するものであるから,称呼は相違する。」

 

 観念は、

 

「本願商標からは,「急にはげしく吹き起こる風,しっぷう」の観念が生じるのに対し,引用商標からは,「『HAYATE(ハヤテ)』と称する忍者」の観念が生じるから,両者の観念も明らかに相違する。」

 

 として、互いに非類似の商標とされました。

 

 

 今回は、一部が共通する商標の類似が問題となりました。

 

 一部が共通していても短い構成の場合には違いが目立ち非類似となる場合があります。

 

 見た目などで大きく異ならせることが真似とは言わせないツボになります。

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