登録第5944587号: 「SAKURA」の欧文字とそれよりやや大きめの「SPC」の欧文字を同じ書体で横書きし、「SAKURA」の語尾の「A」の文字及び「SPC」の語頭の「S」の文字に重なるように、ピンク色の桜と思しき図形を配し、「SPC」の文字の右側に、ピンク系色の3つの花弁様の図形を配した構成、指定商品・役務:第3類の「せっけん類,歯磨き,化粧品」の商標は、
(1)登録第464603号商標:
「SAKURA」の欧文字を書してなる構成
(2)登録第2673715,4409487,4409487号商標:「サクラ」
(3)国際登録第939775号商標:
「SPC」の欧文字を書してなる構成
と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。
そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2016-019483号)が請求されました。
では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。
まず、この商標の
「文字部分は、ピンク色の桜と思しき図形を介して互いに連結し、また、当該桜と思しき図形と3つの花弁様の図形は、いずれもピンク系の色が用いられていることから、全体がまとまりよく一体的に表されたものと認識し、把握されるものである。」
そして、
「「SAKURA SPC」の文字から生じる「サクラエスピーシー」の称呼も、格別冗長でなく、無理なく一連に称呼し得るものであり、また、その前部の「SAKURA」の文字は、「桜」の文字をローマ字で表したものであり、後部の「SPC」の文字は、特定の意味を有する単語・略語を想起、理解させるものではないことから、本願商標は、全体として特定の観念を生じないものである。」
そうすると、
「その構成文字全体に相応して、「サクラエスピーシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。」
一方、引用商標1、2は、
「それぞれの構成文字に相応して、「サクラ」の称呼を生じ、「桜」の観念を生じるものである。」
引用商標3は、
「その構成文字に相応して、「エスピーシー」の称呼を生じ、また、該文字は、上記(1)のとおり、特定の意味を有する単語・略語を想起、理解させるものではないことから、特定の観念を生じないものである。」
そこで、それぞれ対比すると、外観については、
「いずれも構成文字数及び図形の有無において明らかに相違し、明確に区別できるものであるから、本願商標と引用商標とは、外観上相紛れるおそれはない。」
称呼は、「サクラエスピーシー」の称呼と、「サクラ」の称呼とを比較した場合、及び、「サクラエスピーシー」の称呼と、「エスピーシー」の称呼とを比較した場合と、何れも、
「構成音及び構成音数において明らかな差異を有するから、」「称呼上相紛れるおそれはない。」
観念は、
「本願商標は特定の観念を生じないものであるから、引用商標と比較することはできず、本願商標と引用商標とは、観念上相紛れるおそれはない。」
よって、外観、称呼及び観念において、互いに類似しない非類似の商標とされました。
今回は、構成の一部が共通する商標の類似が問題となりました。
一部が共通していても全体がまとまりよく一体の構成であれば、分離して認識されることはない、として非類似となる場合が多いです。
一体感を出すことが真似とは言わせないツボになります。
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