ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

登録第6312864号:「ZONE」、指定商品:第5類の「薬剤,ゴムの厚みを感じさせない潤滑剤」の商標は、

 

 登録第5077761号商標:「ZONE」の文字のうち「Z」の文字は「ONE」の文字よりも若干大きく表されるとともに、「Z」「O」「N」「E」の各文字の一部が隣接する各文字と若干重なり合うように表され、「O」の文字の上部中央からNの文字の上部右側にかけて「Dr.Sears」の文字を小さく横書きしてなる構成

 

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2020-008209)が請求されました。

 

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 

 まず、引用商標の

 

「「Dr.Sears」の文字部分は,「ZONE」の文字部分中,若干大きく表された「Z」の文字とそれ以外の文字の高さの差を埋めるように配されており,全体として外観上まとまりのよい印象を与えるものであって,構成文字全体から生じる「ドクターシアーズゾーン」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,無理なく一連に称呼し得るものである。」

 

 そして、

 

「「ZONE」の文字は,「地帯。区域。」等の意味を有する語であり,「Dr.」の文字は,「医者。博士。」等の意味を有する「Doctor」の文字の略語(いずれも(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館発行))である。」

 

 また、

 

「「Sears」の文字は,「米国の小売業者;通信販売で大成した。」の意味を有する語(前掲書)であるものの,我が国において馴染みのない語であって,特定の意味合いを直ちに想起させるものではない。」

 

 さらに、

 

「その構成中,「ZONE」の文字部分のみが取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情も見いだせない。」

 

 してみれば、

 

「引用商標は,これに接する取引者,需要者に,その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し,把握されるというのが相当である。」

 

 そうすると、

 

「引用商標は,その構成文字全体に相応して,「ドクターシアーズゾーン」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものといわなければならない。」

 

 として非類似の商標と判断されました。

 

 

 今回は、商標の一部が共通する商標の類似が問題となったものです。

 

 商標の一部が共通していても、その部分を分離抽出できない場合には非類似となります。

 

 分離して認識させないようにすることが真似とは言わせないツボになります。

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