ブランド構築に必要なネーミング・ロゴの検証

今回取り上げるのは、登録第5339685号: 「BURJ AL」の欧文字と「バージュアル」の片仮名文字を上下二段に配してなるもの

 

 指定商品は、第36類です。

 

 ところが、この商標は、ドバイのホテル『Burj Al Arab』の文字と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。

 

 

 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服の審判(不服2009-009125号)が請求されました。

 

 審判では、本商標の構成がまとまりよく一体的であり、その構成中下段に書された「バージュアル」の文字は、上段の「BURJ AL」の読みを特定したものと無理なく理解できることから、「バージュアル」の称呼を生ずるとしました。

 

 そして、「BURJ AL」及び「バージュアル」の各文字は、「ジーニアス英和大辞典(大修館書店発行)」、「広辞苑(第6版)」や「コンサイスカタカナ語辞典(三省堂発行)」のいずれの辞典にも掲載されていないことから、格別の意味を有しない造語である、とも認定しました。

 

 他方、引用標章「Burj Al Arab」は、アラブ首長国連邦を構成する首長国の一つであるドバイ在のホテルグループである「ジュメイラ・インターナショナル」が1999年にオープンし、所有・運営するホテルの名称であるが、ホテル「Burj Al Arab」を指称する略称又は別称として「BURJ AL」又は「バージュアル」の文字が使用されていない、ため、

 

 「Burj Al Arab」の文字からは「バージュアルアラブ」の称呼、そしてドバイ在の『バージュアルアラブ』という名称のホテル程の観念が生じるとしました。

 

 

 となると、「バージュアル」と「バージュアルアラブ」とは、語尾において「アラブ」の称呼の有無という差異を有することから、語調、語感を異にし、互いに聴き誤るおそれはないものである、として、称呼非類似として引用標章とは非類似であると判断されました。

 

 

 今回は、既登録商標との類否ではないので、標章との類似性だけでなく、その標章の著名性や、出所の混同についても問われました。

 

 出所の混同とは、その商標がその指定役務に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、引用標章を連想、想起し、該役務が引用標章の使用者又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあることをいいます。

 

 今回は、そのようなこともない、という結論です。

 

 地名が入ったものは、その前後で分断されて認識される場合もあるので、分断されるかどうかしっかり検討することが必要です。

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